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2025.05.19
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 加東市・三草山・・・・2025年05月18日
今日は三草山で汗をかく。一周6km、累積標高で500に満たないお山である。せめて目の前の大坂山なら歩き甲斐もあるだろう。しかし、昨日の雨を集めた数曽寺谷は歩けない。もっともらしい訳を見付けて駐車場の最奥辺りに車を止め、外に出ると風が無い。先行者は多く、いつもいつも時計回りで、暑いだろう岩尾根が浮かんでは消え、そうだ、今日は逆回りで池から始めよう。池への道は真っ赤なタニウツギが咲きガンピが咲き、因みにガンピの樹皮ば桜に似て和紙の原料、季節は既に初夏である。 幾らか水の少ない昭和池の水面は蒼く、水に親しむ季節にはやや早い。モチツツジの咲く湖畔の道を辿って露出する湖面を少々歩く。散らばる石は堆積岩か礫岩で、金属的な音を発するものは接触変成岩の類であろう。素人の見立であるから精度についてはご容赦を。林の方でウグイスが呼ぶ。涼しい水面を離れ、木陰を過ぎた灌木と岩・ザレ場の上はとても暑い。髪を濡らして汗が落ちる。増殖中のソウシチョウの声は愈々もって暑苦しい。それが故の特定外来種ではあるまいが、も少し穏当な鳴き方だってあるだろう。今年初めて聞くハルゼミは参考になろう。 ふと見た足元に、煌めく露を宿したイシモチソウが一叢、5弁の花にはやや早く、粘着く触手は面白い。イシモチソウには多いに迷惑な来客だ。そんな道草を食いながら、センダイムシクイの鳴く尾根のベンチで小休止、生温い水でも補給しないと立ちくらみがする。静かな尾根にも降って来られるハイカーの姿が1人2人。さて行こう。 南尾根に乗った辺りで風がある。涼しげなウラジロノキをバックに未だ熱く無い岩に腰掛け小休止、茶屋の欲しいロケーションだ。広大な播州の地平が目の前に広がる。腰を上げると少々高度を失う地形、当然ながら、失った高度は補って後山頂に至ると云う不条理が山歩き。考えてみると、スポーツなどと称するものは須らくこの手の不条理が付き纏う。「この汗を見よ」を書いても売れる気遣いは無用であろう。 大汗かいて到着した三草山ピークにお休みの方々が6〜7人、この暑気の中でもラーメンを作る方が目の前のベンチ。漂う温気に混じるスープの匂いは悪く無い。真っ赤な顔で、ラーメンを啜るお顔は達人に違いない。ひきかえ水気の無いパンは食欲を唆る資質に欠ける。大いに考察の必要を悟った場面であった。止む終えないので、アンパンを齧ろう。アンパンは昨今の人気を集める食品の一つだ。 南中するお日様を待つと暑さは募る、最後は岩場の続く尾根降り。降る岩場の気温は28℃、白いカナメモチの花には涼しさがあった。降った駐車場の気温は30℃を越えていた。
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2025.05.11
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京都西山・地蔵山・・・・2025年05月11日
天気予報は夜から雨だと云う、が、北部の空を覆う黒雲は怪しい。天気図に見えない冷たい空気が流れて来ると雨だってあり得る。幸いな事に、樒ヶ原の上空には薄雲の中にも青空が覗く。他にハイカーの姿は無い。歩き出すと直ぐ、道上にクリンソウの畑があってお花は見頃。少し離れた府道沿いの石垣にはユキノシタ。天ぷらにもなる便利な花だ。近頃は見る機会の少なくなったジンジソウ・ダイモンジソウと同じ仲間でありながら、故なく人気の無い花である。 ジープ道をぼちぼち歩き。急斜面の凸凹道に散乱する片麻岩、特徴から判断すると、素人ながらホルンフェルスではないかと思う。腐敗の季節を過ぎ、再生の季節の林が美しい。額に汗して登ること1時間、愛宕山の一際小高い杉林が見えて来た。本来のピークは神社の中、旧スキー場へ越えると便宜ピークより高くて900を超える。地蔵山に続く尾根を歩くと辺りに人の気配が無い。人の気配の消えた新緑の林にヤマツツジが良く映える。 無人かと思った地蔵山には先行者が食事中。ガンダーラ文化の粋を極めたかどうだか克く分からない木仏の残骸を見て西向地蔵様にご挨拶。残念ながらカタクリはお終い、お地蔵様は変わらずにこやかであった。北側の空き地でエネルギー補給、芦見峠方面から来られた方々が賑やかだ。 ふと見た林床に咲く地獄の釜の蓋、別名キランソウだが、良く調べるとニシキゴロモ・ジュウニヒトエなどと麗しい名の花々もあって同定が難しい。同じシソ科の花なのに、何故地獄なのだろう。素朴な疑問。さて、峠から登って来られた方々がいて、話題にヒルのお話は無い。今年の春は些か寒い事だしヒルは未だお休みではないか、いやお休みに違い無い。お休みならば芦見峠に降って周回ができる。 降る道中、新たに熊用鐘が4箇所も設置された。何れも釜・鍋を利用したものだが釜の音色は叩くに値する。だが、熊には山奥にいて欲しい。目の前の斜面を降って行くのはアナグマだ。無事に越畑に下山、人の無い家の庭には満開の花々が咲き、人に代わってジャコウアゲハが群れて飛ぶ。花々の咲く時期を忘れるものは、ひょっとすると、人だけかも知れないな。
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2025.04.26
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 伊吹山地・横山岳・・・・2025年04月26日
皆様の記録を参考に、雪の少なくなる頃合を図っていると、新たに新雪が増えた週があったかと思うと、事故のニュースなどもあったりして、4月も末になってしまった。駐車地の桜は流石に葉桜、ところが周辺の草花はやや少ない。合わせた様にハイカーの姿も控え目で、雪が残るであろう谷コースは閉鎖である。 コエチ谷に向って歩く路傍に咲くクサイチゴ、イチリンソウは少ない。同じく白い花を咲かせる二つであるが、耳目はもっぱらイチリンソウに集まる。花の後に甘い果実を付けるクサイチゴにしてみれば、憤慨どころか提訴してもなを糾弾したい事態である。そこへいくと、有名無名の春の花を、公平に撮影しつつ後ろを歩く3人は偉い。偉いには違いないが、距離を空ける手段であるから、やはり一般の草花の不満は募るばかりだ。 後続があっては背後にじわりと圧がかかる。そうは云っても日射しは暑いし、エンジンだってアイドリングは必要だ。その上、目の前に立ちはだかる峠までの山腹はほぼ崖である。ただ真っ直ぐに延びるコースを見上げて湧く気力はむしろ乏しい。沸騰する体から汗が落ちる。俯いた目に映る斜面の花は小さく数も少ない。下の方で、笑いさざめく後続にも、この後訪れるであろう労苦である。 峠に登ると風が強い。汗は直ぐに引くものの、峠の先に聳える三高尾根の厳しい様子。後続の出現で、ギアを入れ替え登り始めたお二人の、小さな背中が哀れであった。この尾根が、人情を解さぬ事は先刻承知。がしかし、ひょっとした拍子に人情に目覚める事もあるのではないか、そんな期待をする人はアホと呼ばれる。後続の気配がして、哀れな姿がまた一つ尾根に増えた。むかしなら修験の者と呼ばれたろう。 取り付いた以上は上に出たい。亡者と化して厳しい斜度を這うように登る。堆積した落葉は憎い奴だ。斜度が緩むと白谷を隔てた東尾根が見えて来た。広大な空間を目の前にして、轟く音は谷の水音。振り向けば、金糞岳と余呉湖の間に湖北の街と霞む琵琶湖。見上げた横山岳は未だ相当の高みにある。真っ白なタムシバや辺りの岩石などを観察する間に、屈強な団体さんが通過して行く。続いて後続の3人が登って行った。これで随分自由になった。山ほどはこうありたいもの。 再び斜度の出始めた露岩地帯、チラホラ咲くのはカタクリである。谷への展望に優れた辺りはヤマシャクヤクの生息域、今年の蕾は多いように思う。ゆっくり歩くお陰で乳酸の蓄積は少ない。少々遅れて山頂に到着、一面の残雪で、後続であった3人は林の中、折角の日射しであるからお日様の恵みとともに、山頂の端を借りてお昼休息。 お昼の後は、多めの残雪の上を歩いて花などは見ない。奥美濃辺りの雪景色を見ながら東峰に降る。雪の消えた辺りのイワウチワは咲き始めたばかり、ブナの林の下を歩くと小さなオウレンが招いている。これで降れば「山笑う」頃の山歩きであった。が、今回は、山が呼ぶのか精霊が呼ぶのか、あるいはあのオウレンの目論見であったか、一旦降った尾根道を登り返すというシーンが付いた。昨年は最後に楽をさせて頂いた。今年は逆に最後に大汗になると云う日であった。こうなると、来年はどんな事になるんだろうか。
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2025.04.20
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 播磨・平石山界隈・・・・2025年04月20日
水を湛えた目の前のダム湖は長谷ダム、山のあなたの太田ダムと合わせ、高低差と地形を利用した揚水式発電所である。山腹に植林などの人工物はほぼ無く、凡そ半分ほどにも見える山ザクラと萌え出る若葉で見事な色彩だ。過剰な植林が少なく好ましい。ところが近頃は再び新たな負の遺産が増えつつある。懲りない民族の面目躍如といったところ。 集落に咲くサクラは満開を過ぎ、晴れた日射しの中に舞う花びらは一期一会。春の日射しの集落を抜け、お山に続く橋の袂に車を止めた。ここでも満開の桜と春のお花。快適な車を出るとやや暑い。歩き始めて身体が重い。暑さに慣れる迄は仕様が無い。苔生す林床にはミヤマカタバミが咲き、林が切れるとミツバツツジが咲く。軽い調子のミツバツツジは時に浮薄にも見える。今日はしかし有難い色彩だ。 今日はゆっくり歩きで行こうと思う。しかしこう勾配がキツくては汗になる。谷川を覗くとすぐ下で白いワサビの花が咲く。ここで少々、未だ生えない道草を食い、しめ縄の掛かる滝に到着した。滝上にしめ縄と仏様、下にはお社らしきもの。おそらくここは古い修行場だと思うが、今日は修行にあらずお散歩である。しかし、近くの足尾滝へは以前、足を運んだ。あいにく天狗はお出かけではあったが、滝上の千年桧に挨拶は済ませてある。 そんな訳で、滝裏に真っ直ぐ延びる急傾斜の道はパス、ゆるい林道をぼちぼち歩く。やがて林道の終点に至り、見上げる杉の林に見えるくの字の作業道。作業道にしては些か古いものだが、これを少々辿ってみよう。木陰を行くのでその点は楽、が、堆積した枯れ枝などは煩い。消えかかる作業道の先にそそり立つ古い石垣。廃墟になって恐らく1世紀、今も残る往時の人の情熱の跡だ。ここでも約束の様に山ザクラの花びらが舞う。 この上は更に増す斜度、今日はここで引き返した。滝場まで戻るとお迎えがあった。迎えてくれたのはカンスゲとアナグマ(。何れも間違えそうな動植物。勘助は甲斐の人物で軍師である。アナグマはイタチ科の動物でタヌキではない。まあ、お迎えがあるのは嬉しい事だ、ここでゆっくりお昼にしよう。
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2025.04.05
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 丹波・五台山・・・・2025年04月05日
濃い霧の中、見えて来た加古川の土手の桜に花は無い。よく見れば、少しばかりの温気があれば咲きそうな様子で、日中の日射しで咲き始める事も期待できる。よって今回も、五台山から鴨内峠に降り、地道で周回するコースを歩く。周回するに就いては若干の懸念がある。身体の硬い事に起因する不安。本来であれば、統率者の意向は「柔らかい身体」であるから、五体努力の結果、そうした方向で実現した身体であって貰いたい。ところが事実はとても硬く、時に叱責の意味で見本を見せる。今回はそれを昨晩やった。今のところ五体の反応は鈍く、右足付け根に軋轢が生じて痛い。彼らの離反が続くと指揮者としては辛い。 五台山駐車場の桜も例外に漏れず未だ蕾、よく見ると2輪の開花は確認した。岩瀧寺境内入口傍に咲くサクラは例年早く、今日も既に満開で、隣の枝垂れサクラの開花を促すように見えなくもない。境内のオウレンはやっぱり種だけが残る。痛む右足を引き摺りながら、知らぬげに淡々と水を落とす独鈷の滝を見て、滝の巻道を歩いてハシゴを降る。鎖はあっても足場の無い鎖場を捨て、対岸の濡れた岩場を恐る恐る歩いて谷に入った。 崖のヒカゲツツジはほぼ満開、サクラより早い開花。砂防ダムを越え崖下を登り、見上げた岩場に大きいキイロスズメバチの巣が二つになった。谷川に沿う踏み跡を辿り林道に出る。気温は2℃だが風が無いので暑い。細くなった谷川の傍を離れて尾根に到着。向かいの斜面は崩れて明るい。直登コースは面白くないので、山腹トラバースコースを歩く。山腹は風が強くて寒かった。 山頂尾根に抜けると右は小野寺山、親しみを込めて「小野寺さん」と呼んでいる。左に少し歩くと文殊菩薩とやや不朽の進む展望所、展望所は日射しがあって温かい。木のベンチに腰掛け休息タイム。先ず一本、と火を付けたところへ市島方面から来られた男性3人。こんなお山で遠慮が必要?、と思いながらも下界の癖ではいどうぞ。ニーチェの云う「畜群」の傾向かな。 展望の後は彼らの登ったコースを降り鴨内峠着。尾根を登ると「親知らず」という不道徳なお山である。ほぼ歩く人の途絶えた峠道を鴨内地区に向って降るコースだ。鴨の立ち寄る様な池などの無い地域である。深い谷底の小さな流れで何やら物色する人影を見た。お宝の出そうな山には見えず、隠れるお魚のありそうな水も無い。しかしバケツはお持ちであった。人は様々あるものだ。 さて、綺麗になった崩壊地に降る途中で痛む右足。統制を離れた足と胴体はどうしたものか。何かの拍子に機嫌の戻る事もあり得る事。鴨内地区の入口に座って、先ずはエネルギー補給。そうしているところへ怪しい人の車が降る。足・胴とも和解が成立、とはいかず、引きずる足で春の見物。午後のサクラはチラホラ咲き。黄色いタンポポの咲く光景は心が和む。土手のツクシは今が盛り、何やら一度に春が来た。五体との和睦はどうなるのかな。
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2025.03.29
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 鈴鹿・御池谷~御池・・・・2025年03月29日
御池の雪はもうほとんど消えた様子で、僅かな間ながら、雪のある温かいお山、と云う我儘のまかり通る週末だ。予報では、必ずしも良いお天気とは云わないが、歩き始めた鞍掛橋には充分な日射しが届く。R306のゲートは開き、峠から歩けば楽ができる。我儘を適えてその上楽をしては天道に悖る。故に、ゲート閉鎖時のルートである、鞍掛橋から御池谷を遡上、ヒルコバに至るルートを歩く。ヒルコバでは、開いたばかりのフクジュソウが迎えてくれたのは前回の事だ。が、あれは相当むかしのお話で今日の谷はどんなだろう?。大いに変わった林道を後に谷に突入、流出した砂礫に代わり、カレンフェルトの大岩小岩の間を登る。 左手に続く谷を分けると水量が減り、そのぶん谷も小さくなった。この谷が果してヒルコバに続く谷であるのかどうか。何か指標でもあれば、と思う頃に、木に吊るした古い小さな道標が残っていた。見上げた空に鈴ヶ岳のピークがひときわ明るい。やがて水も無くなる辺りで谷が分かれる。真っ直ぐ登ると崩壊地、左は同じく石ゴロゴロの谷が続く。崩壊地は有難くないので進路は左、両岸は更に険しい崖が続く。 どうやら谷も終わりらしい様子、そろそろ緩むであろう斜面の先は、と見て間違いに気が付いた。この先は深いき裂のゴルジュである。左に鞍掛尾根の見える地点で左の斜面は登れる程度、地図を見ると鞍掛尾根の支尾根である。選択肢がないので支尾根を行こう。登った尾根は植林地、日陰の風は冷たかった。杉の林を抜けると日射しの溢れる残雪の上、ところが強烈な風は痛いほど冷たい。正面に鈴ヶ岳から鈴北・御池が覗き、振り向くと雪の消えた霊山、残雪の伊吹山、背後に真っ白な金糞岳辺り、素晴らしい光景ではあるがとても寒い!。 鞍掛尾根ルートに出ると少ないながら人影がある。残雪の尾根を登って鈴北岳、そこから見る雪の消えた御池の日本庭園、広大な山頂大地。ぼんやり眺めていると霧氷が付く。フクジュソウに会うべくヒルコバ方面に下降。登って来られた方々のお話では、花は未だ少なく雪の下とのこと。せめて花一輪でも、と降ったカレンフェルトの斜面で探す事30分ばかり、バイケイソウの芽は見るもののフクジュソウの姿は無い。 風の少ない南斜面の日溜りでエネルギー補給。ここでもまた、フクジュソウは絶滅だろうか、それとも早過ぎたのか。些か意気消沈の体で鈴北への登り返し。その様子を見たらしい降りの方のお話で、満開の群落の存在を知った。後は鞍掛尾根の冬道を辿って急降下、天気は下り坂の様相だが、下界の風は温かい。橋のたものとフサザクラは半咲きであった。
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2025.03.22
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 湖南アルプス・堂山・・・・2025年03月22日
田上公園に車を止めると往復で4キロばかり、よけいに歩く事になって効率が良い。今日は温かくて天気も良く、ゆっくり歩くと云う贅沢ができる。桜は未だ咲かなくてもやや硬い蕾はガラの仲間の朝食だ。コガラ・シジュウカラとヤマガラらしき混成群も、今日あたりを境に解散かも知れない。今年最後の晩餐会ならぬ朝食会かな。高速道路の工事現場に安全係の姿が無い。 珍しい沈下橋を渡って小さな中洲に降りてみた。直ぐ上に大きな堰堤の建つ狭い区間ではあるが一度歩いてみたかった。歩く天神川左岸の道は県道らしい。県道の脇ではイワナシの花が咲いている。ツツジ科の花で実は梨に似た味だと云うが食した事が無いのに気付いた。覚えていたら食べてみよう。林の中では白い馬酔木の花が満開だ。が、同じ馬酔木でもピンクの花を見たばかりでは、どうしても華やかさに欠ける。 これよりは寒さに代わり暑さに耐える身体が欲しい。そんな器用な真似は出来そうにないので、せめて今日はゆっくり歩く。ゆっくり歩けば見えないものが見えてくる、筈であったが見たいものさえ気付かずに通り過ぎた。飛び石伝いに鎧ダムへの登り口を過ぎ谷川を遡上。途中、寄り道などをしながら砂礫に埋まるダム湖に到着。今日の流水はやや多い。 建設時の小屋跡らしき礎石に腰掛け一服タイム。後方のざわめきが近づき先ずはアベック、隣りに腰掛け汗を拭く。その後はゾロゾロ、指を折っても間にあわず。礎石を離れ、濁りの無い流れに沿って風化花崗岩の砂礫を観察する事暫し、辺りに静寂が戻る頃に堂山に向って灌木の林を歩く。とても暑くて、身体が重い。後続のおじさん二人に途を譲り、その姿も直ぐに消えた。 ザレ尾根に登るとお二人は休息中、ここからは少々気合が必要、考えるとこちらからの登攀は初めてである。ザレ場・岩場が続き、初めて歩くお山の雰囲気。お腹も減って、着いた堂山で水・エネルギー補給、続いて着いたお二人はコンビニおにぎり、パンも良いがおにぎりは美味しそう。エネルギー補給が済みお先に下山、目の前に広がる街並みと琵琶湖、巨大工事現場は何れ景色の一部になろう。こちらの光景も捨て難い。
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2025.03.15
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 丹波・向山連山・・・・2025年03月15日
暗くて今にも泣き出しそうな空、春霞と呼べば麗しくもあるがその正体は黄砂、冷たい風に晒されると、落ち込む気持を立て直す術が無い。どうかすると撤退の2文字が浮かんで来る。雨なら雨の、雪なら雪の歩き方がある。今日くらい嫌な朝は珍しい。ま、嘆いていても仕方ないから先ずは水別れ公園まで歩こう。土手の水仙はチラホラ咲き、谷川の水流の傍の小石は魅力がある。 こんな天候に拘わらず、散歩を日課とする皆様は元気である。中には日本一低い本州分水嶺の所以に就いて、説明を始める方もおられ、吹き抜ける冷たい風でさえ、彼らの意欲を削ぐ事が出来ない。天の神さんにはイソホ物語を勉強しなさい!。 トイレに寄って防獣扉を開けると直ぐ、左の急斜面を這い上がるルートがある。「2の峰登山口」と書いた消えかけの小さな指標はあるものの、酷い斜度のズルズル斜面にほぼ踏み跡は無かった。死ぬような事はないからお好きな人が辿るルートだ。一方、こちらも厳しい斜度で、一気に珪石山まで登るルートで楽では無い。が、尾根を行くので明るさに勝る。先ずは谷底の植林地から始まるルートだ。 植林地を抜けると荒廃した展望所までつづら折れの踏み跡を登る。山腹には太いアベマキが多く、厚いアベマキの落葉を踏みつつ高度を稼ぐ。この時期のこの谷の落葉を踏むと煙が立つ。暫く歩くと靴やズボンに付着して真っ白、何を隠そう、これは全て花粉と黄砂、アレルギーの方が見たら引きつけを起こしそうな光景だろう。が、鼻水や鼻血は出ても花粉症にあらず、アトピーで埋まる席に花粉症は座れないのだ。エッヘン! 細尾根に出ると風が冷たい。ツツジもコブシも蕾は硬い。そうして徐々に加わる斜度の中、気休めは補強著しいトラロープ、補強はされても山頂までの搬送サービスは未だである。仕方がないので自力搬送、飛び出た珪石山の展望にご褒美は無い。ご褒美が無いなら探すまで。露天掘りらしき鉱山跡に降って辺りの岩を少々掘削、下手すると脆い岩もろとも埋まってしまう危険がある。この山は人情を解さぬ山であった。 後はさっさと周回を済ませて帰るべく、蛙小峰は失念したが、五の峰、魅力に乏しい向山、北峰、四の峰、ここで早咲きのヒカゲツツジを探してみたが虚しい結果、三の峰では、天に向って僅かばかりの自己主張をしたばっかりに雪を貰い、最後は、登りに厳しい例のルートを転がり落ちて周回を完了。下界に下ると雪は雨に、今日は見どころに乏しいお山であった。
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