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2025.10.20
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 多紀アルプス・筱見四十八滝・・・・2025年10月18日
国道走行中にはや雨が落ちる。暗い空から本格的な雨が落ちてくるのも時間の問題、だから他のアクティビティを、と切り換えができるほど器用では無い。出来れば雨は少々、山ビルのいないところ、と言う事で雨の前の四十ハ滝。駐車地に止まる車が1台。崩れ必至の空模様、加えて谷底のルートはとても暗い。先行者があろうとは思わなかった。 流れる水は多く濡れた岩は滑る。今朝などは秋の気温で水に親しむ季節は過去の事。勢いよく落ちる滝の水飛沫は風邪のもとだ。暗い谷底の濡れた岩場が怪しく光る。まさか熊の出没はあるまいから、滑る岩と蝮には注意しよう。先ずは一ノ滝を拝んで巻道を登る。岩の巻道を越えると汗になった。いつもは行かないニノ滝だが、降雨までの予定であるから省略は無い。露出した木の根の道は、濡れると愈々危険でそっと足を置かせて頂き通過。腫れ物に触れてはいけない。 ニノ滝からルートに戻り、少々岩場を通過、光感応細胞の減った目には暗すぎる三ノ滝。ここからも暫く岩棚などを通過、やがて唯一の明るい岩尾根に到達する。折角だから小休止。やや酸っぱいナツハゼの実を2粒ほど口に含み、眼前の岩尾根や集落を眺めつつ汗を拭く。けっこう暑い。足元のクヌギのドングリは帽子付き。岩尾根を降ると再び暗い流れの中、渡渉の後は大きな滝が目の前である。これを四ノ滝とした場合、次の滝は五ノ滝で終わり、これは不味い。 筱見四十ハ滝は確か、しじゅう流れる滝が八つあり、全て名のある滝でこれを黙殺しては乱暴である。が、洒落の様な名前であるし便宜上の事であるから、大きめの滝が五つ架かる渓谷、としても遜色なかろう。これで一件落着、大きめの四ノ滝を見て斜面を登り、岩場をへつって大きめの五ノ滝に着いた。これで滝はお終い、目の前の鎖場を越えると桃源郷の様な平坦地が待っている。 桃源郷に未だ紅葉は無い。手つかずの栗の実が転がる様子は何やら怖くなるほどだ。先行者はハヶ尾山まで行かれたようだが雲行きが良くない。今日はここまでで、雨の前にお山を降ろう。周回ルートのコナラの根本に、今頃には珍しい○○タケが出ている。天変地異の予兆でなければ新発見。
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2025.10.14
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 多紀アルプス・御嶽・・・・2025年10月12日
ノコンギクだかヨメナだが、とかく秋の薄紫のキク科の花はノコンギクだと決めていた。ところが葉を見たところ、鋸歯は少なく大人しい。こうした特徴から結論するとヨメナかもしれない。ヨメナは複数種の名称であるから間違いも少なくなる。故にヨメナとしよう。路傍にヨメナの花の咲き乱れる道の下には豆畑。近頃の篠山の秋は黒豆とともに始まる。黒豆の畑はあっても火打岩は静かな朝であった。 登山口の民家の角を曲がって先行者が行かれた。やや間をおいて角を曲がるとコスモスとヨメナの咲く休耕田にぬける。先行者は防獣柵を過ぎたところ、御岳のピークはガスの中。防獣柵を過ぎると薄暗い植林地、プラ階段が出てくる頃から息が切れる。そんなに厳しそうに見えないながらもここではいつも喘いでいる。辛抱が足りないのか能力が無いのか、いつ歩いても変わりが無い。 尾根道は、ピーク手前と一部を除けば斜度の少ない山腹コース、往時を偲ぶ細やかな遺跡の残る道である。ここで少々休みを入れ、汗などを拭き謂わば垢落とし、改めて歩く先には先行されたお二人がおられてナツハゼの実を収穫中。年の頃は70を越え、お話を伺うと御年80、嘗ての山男であった。ご同行の奥様のお年は一つ少なく79、近頃のご趣味はもっぱら生物学であるらしい。いきなりナツハゼとウラジロの実を勧められ、カマツカの実があればお勧めしたいところ。 お先に失礼して、綺麗な松葉の尾根で一服休息。追いついて来られてまたお話。心もち猫背が気になるほどでとても元気だ。先行されるお二人を追いかけボチボチ歩く御岳道。新たに賑やかな後続ができ、鳥居堂跡で道を譲ると長めの休息モード。お話に夢中で人の様子は目に入らん。先を歩いて大岳寺跡、境内跡で何やら物色中のお二人を発見、何がありますか?、と聞くと、栗、と仰有る。 この後、岩尾根までの登山道にこぼれる栗の多い事。山の生き物には有難い事だ。岩尾根をやっぱりヒーヒー登って岩のテラスで一服休息、定番である。やがて追い付いて来られたお二人が現れ、お孫さんと曾孫さんをご同行。1等席を譲ってお先にピーク。ピーク下から濃いガスと小雨が着いて来た。 主の消えた岩屋を拝んで、シラキの紅葉を見ながら大タワへ降る。大タワ手前の綺麗な尾根に転がる大量の栗、これを貯蔵に回せば飢えることもあるまいに。大タワに降りエネルギー補給、そこへ降って来られ、オニギリを頬張るお二人。やはり小金ヶ岳に行きますか?、とお尋ねすると、行く、と仰有る。林道沿いに興味があるので降りますよと挨拶をして道を分ける。林道沿いの藪では熟したアケビが2種類、やはり沢山の実をぶら下げて、陽射しの中で揺れている。
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2025.09.29
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 但馬・蘇武岳・大杉山・・・・2025年09月27日
万場スキー場に車を置くと、蘇武岳へのルートは2つある。スキー場を詰め谷の両サイドを行くコースと、名色地区から林道を行くコース。起点の名をとり名色コースと漢字では書く。歩く積りはないものの、「ないろ」は響きが良くてお気に入りであった。ところが「なしき」と呼ぶのが正式らしい事を知ってしまった。知らない方が良い事もある。 車を止めると同時に男性が先行された。他にも数名がお山にあるらしい。ゲレンデ脇の栃の木に実が無い。この木の花は見た記憶があって実を着けるものだと思っていた。振り返ると関西で唯一、噴火口の残る神鍋山。芝生の中に転がる軽石は往時のものに違い無い。白花のゲンノショウコは濡れている。曇天の空に陽射しはなく、雨がなければ快適な気温だ。 踏み跡は確り残るもののやや荒れた様子の谷底の途。下山の若者に声をかけると未だ暗い5時から始めたと云う。温泉で過ごす時間に余裕がある。大杉山へのルートを分け、巨樹の谷を這い登る。想定外の厳しい斜面で忽ち汗。名前の通り、太めのサワグルミとカツラ、上部の栃の木は大きい。ここでも下山の男性と遭遇、お山はキノコが豊作だと仰有る。キノコの詰まったザックを背負い(恐らく)、意気揚々と降って行かれた。斜面に顔を出すキノコはスッポン茸だったかな。 谷を詰めた後はトラバース、ゆっくり谷を見下ろし汗を拭く。滝の巻道を終え、谷芯に戻った辺りは秋の実りと動物の気配が漂う。皮を残したクリの実・栃の実は彼らの食事あと、そばには手つかずの実が沢山残る。少し高い木の上には、かなり大きな実を着けた山ブドウが食べ頃に熟れる。風が抜けると音を立てて落ちてきて、足の置き場に困る程。綺麗な青い実のサワフタギは希少になった。 キノコは確かに種類は多い。カエンタケは、弱ったミズナラの根本で確認した。彼はこの様にして種々のキノコを見つけたのだ。収穫にはやや遅いナメコを大量に着けたミズナラは、尾根上の、名色コースの脇にあった。暫くそんな林床が続き、ブナの純林に代わる頃に蘇武岳のピークが覗く。ピークまで残り僅かな辺りで蘇武岳・大杉山の分岐点、今日もやはりピークはパス、残る一つ山〜四つ山、最後に大杉山で充分堪能できるコースである。 先ずは一つ山、ピークのブナは切払われて、陽射しも少々、明るくて気持が良い広場。木陰の倒木に腰掛けエネルギー補給、風が抜けると濡れた身体は寒い。陽射しの中は温かくて、猛暑が去って未だ1・2週間、今では遠い記憶の彼方だ。心細い事この上ない。さて、補給の後は残した行程をこなして大杉山。にこやかな単独女性は元気がある。見下ろす景色に秋色は無い。ナナカマドには気配だけ。 降りの大杉山コースもかなり厳しい。辺りはずっと、ブナの純林が続いている。ここでふと気が着いた。お山が豊作と云うならブナの実に埋まる林床がある筈なのだ。ブナの実は、粃を含めて見ていない。里山ばかりは豊作でも、高所の山は東と同じく不作だろうか。そうした懸念はあるものの、今日は久しぶりによく歩き、お山は長い夏の猛暑にも負けずまずは豊作の様子で、まあ満足であった、としても良かろう。
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2025.09.22
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 宝塚 ・丸山湿原~大岩が岳・・・・2025年09月21日
前線の南下で秋らしい気温だが、そんなにすんなりと秋になっては盛んに鳴くツクツクボウシは身の置きどころが無い。一方で、あぜ道に咲くヒガンバナはやはり彼岸頃の光景で、その色はためらいの無い堂々たる赤だ。セミの声と秋の虫の音色、移り変わる季節の狭間はより複雑になった。 近頃の頭痛は汗を出せば大人しくなる。丸山湿原辺りは雨中の散歩も充分可能、もしや残りもののサギソウなどもあれよかし、と雨後の駐車地に車を止めた。背後の草地は花盛りで、チョウなどが群れて翔ぶ。雨後とあって湿度は高い。大岩ヶ岳へのルートは濡れた笹薮、先ずは湿原で道草を食う。適度に汗になったところで湿原に着いた。サギソウどころか夏の花はすっかり消えて、ガマズミなどの実は綺麗な朱色。 帽子を着けたドングリの転がる道の脇には、小さいながら実を沢山着けた小さな栗の木がある。実りの多い年で間違い無い。ところが米は、新米も古米も高値推移で困ったものだ。元気な声で翔び回るのはソウシチョウだけ、ガラの仲間はなりを潜めて姿が無い。日本の野鳥は駆逐されつつある。湿原を見て回った後は「太陽と緑の道」と道標にあったと記憶している歩き易いルートで進路は大岩ヶ岳。 登り降りの後は見晴らしの良い丘で小休止。勢いに陰りのみえる森を見下ろし、松陰などの事が脳裏に浮かぶ。享年29歳にして、人生の春夏秋冬を知ったとか。とても叶わない。物思いにふける間にアベックが行った。寒い、風の抜ける木陰は寒かった。大岩ヶ岳目指してどんどん降り、ダム方面と別れて大岩ヶ岳への斜度の厳しいルートを登る。このルートは始めてだ。 短いながらも再び汗になり、先行者が汗を拭く大岩ヶ岳に到着。見渡せば、ダムの水と緑の大地と鋭角な山々、山水画の景色を一望にできるピークである。ややあって親子連れの3人が東から、単独の男性が西から到着。狭いピークであるから、皆様自ずと降って行く。頭痛は解消したからこれで良い。降る道中、唯一の狭い植林地はご用心。雨後の露出した杉の根っこはとてもよく滑る。痛い思いはしたくないもの。
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2025.09.08
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 丹波・白髪岳~水山・・・・2025年09月06日
昨日の、小さいながら台風と、南下した前線のお蔭で随分過ごしやすい気温だ。これで秋らしくなったとしたら、少しだけ早い二百十日の野分という事になっただろう。車を出ると、目の前の小さな川は音を立てて流れている。多少肌寒く感じる朝の空気と夏草に降りた朝露、ラジオ体操に出る頃の夏の朝を思わせる光景だ。登山口まで1.5キロをゆっくり歩く。沿道の畑の草は伸び放題、綺麗に手入れの入った栗園だけは芝生の中、今年の実はとても大きい。東北は栗・ブナなどは不作と聞くが、目の前の栗は大きく樫類のドングリも大きい。西日本の実りはどうだろう。 大雨の流れた跡を残す道の上に、比良で始めて見て驚いたケマイマイがいた。デンデンムシと云えば可愛いものに決まっている。ところがこいつはけっこう長い毛があり、おまけに剛毛らしく見えるから可愛どころでは無い。サバイバビリティに寄与する変化であるなら何れ全てのデンデンムシに毛の生じる時期が来るかも知れず、毛なしデンデンムシはお伽話になる恐れもある。怖そうなので触らんとこう。 ぶらぶら歩きで登山口に到着。ほぼ汗は無く、汗腺制御の正常であることを確認した。小さいながら、昨日の雨を集めた谷川に、綺麗な水が流れている。急勾配の途を登り尾根に抜けた。先週の苦労のお蔭でダメージはほぼ無い。四斗谷を見下ろす木陰のベンチで小休止、谷の西にはトンガリ山。成長する樹木で年々展望は限られる。しかし木陰は多くなるから寧ろ都合が良い。 歩き出したところへトレランスタイルの少年が1人、間をおいて徒歩の少年4人が後を追う。話を聞くと、全員高校生で山岳部のトレーニングであると云う。幼い風貌の高校生たちだ。彼らのパスした岩尾根に登り、展望を楽しむ間に次の岩場を登る彼らの姿がある。人数が合わないところをみると更に後続があったようだ。次の岩場はちょっと手強い。短い鎖場を通過した最先端に、デンと腰を降ろした男性が1人。通過に問題は無いものの、通過の序に景色も見たい。高校生の早い通過の謎が解けた。狭い岩場の占拠は如何なものか。 着いたピークは高校生で溢れていた。暑い岩場に長居は無用でさっさと通過、急な北尾根降りで落石でもあると避けようが無い。先んじての降りこそが寧ろ望ましい。降ったところで水山への登り返し。何で水山なのか不明だが、鄙びた篠山郊外への展望がよく、何より涼しい風の吹くピークで温度計は18℃、近頃の低山では破格の待遇だ。一服など入れて暫しのまどろみの時間。北に降る踏み跡はトンガリ山から西寺山を周回するルートでかなり踏まれている。いつか逆コースで辿ってみよう。しかし今日はもう十分に満足した。故に暗い松尾山は端折って、エスケープルートで林道に降ろう。ピークの声が消えた。静かな間にさあ降ろう。
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2025.09.01
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 比良・大津ワンゲル道~釈迦岳・・・・2025年08月30日
暑い最中に涼し気な風を期待出来る、と思っている大津ワンゲル道、7月は天候の悪化で敗退したが、今日は暑さの他に懸念は無い。比良山地の気温の上昇は湖面からの風を呼ぶ。故に冷風が吹き暑気に対抗出来る予定。2車線になった湖西道路は帰りの混雑を払拭した。釈迦岳方面駐車場に車は少ない。相変わらずワンゲル道は人気が無い。小橋の下を流れる水に勢いがある。 先ずは薄暗い溝状の谷中を尾根まで歩く。風も無く湿度が高くて息苦しい。尾根までの辛抱、汗のでかたが先週と同じで、一部の機能障害を疑いたくなるような溢れ方だ。ボチボチ歩く林床に大きいキノコがあっちこっち。イグチの仲間かアカヤマドリの仲間か。異常な出方ではないから大きな災害の懸念は無し。地表を覆う菌類のネットワークは、今のところは人族の予測より信頼出来る。 やっと尾根に出たのにほぼ無風、代わって出たのは後続の男性だ。暑い登山道を黙々と歩く方だ。こちらは変わらずにボチボチ、風化花崗岩を観察しながら歩く。海抜70mの湖面から漏れなく届く水上バイクのエンジン音、暑苦しい、と苦情のひとつも出た過去と違って余裕がある。湖西道路は2車線なのだ。しかし歩けども汗をだせども砦跡は遠い。路傍のオオオニタケかシロオニタケか、大きな傘を拡げたキノコの前でザックを降ろして小休止。水上バイクのノイズに負けじとツクツクボウシが勢いよく鳴く。 草臥れても、歩く限りは目的地に到達する。砦跡(古い石切場跡かな)に着いてやはり小休止、いよいよ風が出て涼しい。この先の厳しい細尾根に備えて水分補給だ。さて、と腰を挙げて細尾根に突入、急角度の両側の斜面は白く、風化花崗岩のザレ場はずっと下まで続いている。降ってもみたいが戻る体力が無い。シャクナゲの丘を過ぎると嫌な急斜面、近頃は風雨に削られ、多少歩き易い溝になった。 お次はイチョウガレ、ほぼ崖状の細尾根をはい登る。岩角・木の根を持って登るので案外に楽。寧ろ全身運動が出来て清々する。小さな溝に小さなママコナが咲いていた。2段構えの崖を超えると釈迦岳からヤケオ山に続く稜線と大岩壁、ジュウイチの鳴く場所なのだが今日は無い。ここまで来るともうヘロヘロ、強制冷却とエネルギー補給の時、イワカガミの上に敷物をして大休止。気温は20℃で涼しい風の吹く木陰だ。 降りは一度も歩かないケーブル釈迦岳コース。下の方でカラ岳コースと出合うルートで、下方は、歩き辛い、真冬でも汗になるルートだ。いざ降り始めて、ケーブル跡地までは東の風が涼しいシャクナゲの尾根であった。予想の通り、ここからが暑かった。風などは望むべくもない谷底の道を辿り、神璽谷コースと出合うと抜けた処が小川。噴出する流れに入って汗を拭き、序に裸になって流れに入ればさぞ気持ちが良い。が、少ないながらここは人の在る場所。子供でなければ裸は顰蹙もの。大人は不自由なものである。
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2025.08.25
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 多可町・妙見山・・・・2025年08月23日
段ヶ峰周回コースの起点となる生野高原GC、雪でなくとも力の入る急坂の道だ。脇道に入ったところに細やかな登山口があり先行車が1台止まる。先行する人があるかと思うと多いに励みになる。簡単な用意を済ませて空を仰ぐとほぼ曇天、だが雨は未だ無い。よく踏まれた登山道を歩くことおよそ5分、膝辺りに蠢く影は何かいな、と見ると見まごう事なき山ビルだ。はて、これは如何なる事かと靴に目を落すとそこにも蠢く山ビルがいる。5分で2匹はけして少なくは無い。情けない事ながら、血を見る前に段ヶ峰は中止、転進先は多可町の妙見山にしよう。1度歩いただけだが山ビルはいなかった。 東山古墳群の前に車を止めると道路は濡れている。幸い雨ほどは止んだ後だが草木は濡れて湿度が高い。ゆっくり展示館見学などの選択肢もあり得るのだが、それでは余りに情けない。防獣柵を開け東山登山口へ向ってボチボチ歩き、風が無い。やがて夏草に埋まる登山口が見えてきた。濡れた夏草の中は苦しいに違い無い。降りに回して林道を詰めた牧野登山口から周回する事にしよう。 風が起こればも少し元気が出るはずなのだ。ボチボチ歩く林道も、綺麗なところばかりなら楽なのだが、夏草に埋まる辺りは脅威である。砂利を這う毒々しい毛虫に驚き辺りを見ると、イラクサ科の植物を食べ尽くすフクラスズメの幼虫、山ビルも脅威であるが毛虫は不倶戴天の魔性のものだ。何だかこの先を占う様な光景で愈々トボトボ歩きに拍車がかかる。因みに、フクラスズメの幼虫・成虫は無毒で人に危害を加えるものでは無い。ただ毛虫は頂けない。 そんな中、ミヤマアカネの翔ぶ姿は慰めであった。牧野登山口に続く明るい林道の上で小休止、登る前に大いに疲れた。ほんとに行く?、と自問する心持ちが台頭するも、ここで止めては後悔が残る。登山口を塞ぐネットはボロい。近頃の踏み跡の無い植林地の下は暗かった。記憶では、植林地が尽きた辺りで厳しい斜面に変わり、少し登れば尾根に出る予定だ。そろそろ斜度が出る辺りで腰を降ろして休みを入れた。今思えば何と大胆な事をしたものだろう。 暗くて割れ石の多い道では足元に不安がある。足の置処を確認すべく見た枯葉の上で、首を回して獲物を狙う山ビルが3匹、えらい処に踏み込んでしまった。これから斜度が増すと云うのに何としたものか。ムンクの絵の如き心情だ。出来れば岩だけを歩いて登りたい。そんな歩きが出来る訳もなく体力も要る。そうでなくても暑くてムシムシ、これ以上のムシは無視したい(過去形は楽ですな)。ズボンを這い登る山ビルには翻意のほどを説く暇もなく、着いては払い、祓っては祈りの道程であった。 そんな光景の仲、遂に堪忍袋の緒も切れた。この際、寧ろ反撃こそが心の平穏に資するのではないか。ライターを取り出し、払った山ビルは火刑に処する。そんな方針転換の後は攻撃は少なく、既に彼らの居住エリアを越えたようで、尾根に乗った処でどっと出た疲れで青色吐息。岩に腰掛け暫しの戦士の休息だ。が戦闘モードの完全解除では無い。残る高度を稼いでやっと岩のピークに着いた。内から冷たいもので強制冷却、食欲は無い。 降りは南の尾根で風はあり、が暑くて汗腺は開きっぱなし。やはり思いの他長い道のりを歩いて東山登山口に帰還した。今日は今年で1番暑い日であった。
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2025.08.04
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 湖南アルプス・笹間ケ岳・・・・2025年08月02日
アメダスを見るとどこもかしこも危険な気温、せめて水に親しむ事が出来れば過ごしやすい。台高などに行こうと思えば片道4時間ほども必要で、それで沢の傍を歩くだけでは勘定が合わない。無駄を承知で、近くて木陰が多くて風も少々、綺麗で涼しいところ、を探してみたがあるわけはない。天気図には近付く台風の影響がジワリ、関西は概ね北からの風。琵琶湖を渡る風の行き先は湖南だ。今日の湖南アルプスは涼しいに違いない。流石に焼けた低山に長居は禁物、1度歩いたきりだが笹間ヶ岳は距離もなく標高差も少ない。 今日はお休みなのか、高速道路の工事現場に人影は無い。登山口横の駐車地に先行車は1台、早朝の散歩を終えた方が降って行く。暫くは谷川に沿うルートで未だ早朝と云う時刻、涼しさどころか妙に湿度が高い。一晩経った後の岩から熱線が出ている。流れる水に手を浸すと、けっこう冷たくて5分間は歩く力になる。風の無い谷底から這い出ると僅かな風が有難い。シダの道から二人の男性が降って行った。 尾根に出たところに砂礫で出来た池がある。周辺には小さなトンボが翔び小さな花が咲いている。肉眼でも見えないものを写そうと云うのだから、工夫なしではまず無理だ。「考える葦」の実践には暫し時間が必要、で多いに道草を食う。食った結果はミミカキグサ、ミカズキグサであった。期待したように、雲の多い空で陽光は少ない。が、一旦お日様が覗くと過酷な暑さ、腰を上げるとクラクラする。次の池ではサギソウを探してみたが未だ尚早、どのようにして住みついたものか、池の主はウグイである。 ほぼ平坦な木陰の先に平坦地がある。流れの先は古い砂防ダム、そこには鮒の一族が住み着いていて、アカハライモリが下宿人。水際に映る人影などに動じる様子は微塵も無い。人であれば、仙人の域にあるものと考えてよい。木のベンチにザックを降ろして歓談する事暫し。遂にはパンの饗応を提案してみたが一族の口には合わず、虚しく水底の藻屑と成り果てた。一族はまた、詰まらなそうに、各々池の周りの散策に戻っていった。 さて、随分長居をしてしまった。低いとはいえ、巨岩の立つピークは目の前にあるはずなのだ。シダの尾根を超え岩場のザレを降り、記憶のピークはとっくに過ぎても未だ到達しない。記憶のあてにならない事は今更ながら、着いたピークの大岩へ登り、琵琶湖を見下ろしながら冷たい物で身体を冷却。食欲は無し。北側を覗き込むと概ね30mくらいの高さで冷や汗は出ない。岩を降りると気持ちの良い風があった。 周回ルートは確認が出来てないのでピストンする。降りの道草は食わないように心掛けたつもりであるが何分にも興味深い地域であるから足が止まる。愈々盛んに溢れる汗。木陰の下に止めた車は34℃、汗を止める手段はエアコンの他に無い。
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2025.07.28
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 丹波・岩屋山・・・・2025年07月27日
6月は遠いヨーロッパで猛暑があった。近頃は北海道で40℃の予報がでたり水不足の水田で発育期の稲が枯れ始めたり、人族は愈々見体験の領域に入ったらしい。しかし、このところ強烈な陽射しの収まる黄昏時、何やら涼し気な風を感じる。暑気への耐性が出来てきたのか実際にその様な風が吹くのか、地球規模の大気の循環を見てさえようわからん。そこで何とか知りたいと思っているのが縄文時代の気候である。8000年前の縄文遺跡は東に多く西にはほぼ無い。居住条件によるものならば、西は暑くて選択肢を外れた?。栗などの堅果類は熱帯には少なく、海の資源は寒流の流れ込む北に軍配。だけど熱帯ならばバナナがある。栗より食べ易くて苦労が無い。では、アジアモンスーンに異変が生じ、結果、西日本はサバンナが広がった?。 考えると際限が無いので終りにしよう。今日のコースの暑いことについては疑う余地が無い。イロハモミジの駐車地でさえ25℃を超えている。本来は民の苦難を救うべき2体の毘沙門天、ただ立ち尽くすばかりで、見開いた眼差しはあらぬところに注がれている。まさかに少し動いたのか、確認したいが足元が見えない。覗き込む横を檀家さんらしき軽トラが盛んに降って行く。盆前の掃除かな。 水の滲み出る谷川の横を通り、防獣柵を空け取り付いた岩尾根はやっぱり暑い。谷間の中は風が無い。風を求めてトボトボ登るとお日様が届いた。無体な振る舞いではあるが風は起こる。松の木陰で風を待ち熱冷まし。僅かな木陰も無い辺りは、素早く移動しないと焦げ目が着く。踏み跡に近頃の痕跡があった。このルートは確か4回目で、出会った人は2人だけ、とすればあの若者かな。しかしよく落ちる汗。 尾根に乗ると風は強い。もっとも狭い辺りに尾根を越えて這うパイプがあった。やや古いものだが東側でも見かけたようだ。水道設備以前のお寺の水源だと思う。急斜面を登ると祠のある岩屋山。正確には、山と古城を偲ぶ祠で山頂と城跡は無い。城の痕跡ばかりは残っている。 岩屋山から鉱山跡に降る急斜面はよく滑る。お助けロープはあるものの、照葉樹の落葉は乾いて滑り台。落葉樹の葉は、寒さから落ちた後も根を守る。照葉樹は、腐食に強い葉で数年かけても分厚い布団を作りたい、と意図している?。急斜面を降ると鉱山跡、木陰でもほぼ風の無い岩の中は乾いて暑い。暑かろうが先ずは岩の観察。踏込んだところで突然、隼と大型の猛禽2羽による空中戦らしき光景が起こり、鉱山跡に木霊する鳴き声がピー、ピー。数分後には静寂が戻ったものの、何事であったか知る術が無い。最後は溶岩の貫入跡だと云う輝緑岩を見てエネルギー補給。水は無いので珍しいトンボの翔ぶ姿も無い。 岩の中を少し離れると風があって生き返る。そんな道にトグロを巻いた小さなマムシが一匹。危うく踏み殺すところだ。他に訪れる人の心配は無いから安泰だろう。石龕寺奥の院まで降って一休み。足利将軍幽閉所跡は劣化が進み立ち入り禁止、最後に鐘を2回突いた。見下した街の、何処でどんな音が届くものか、知りたいものだ。見回した空に、真っ白な3次元的な雲が立つ。夕立には勢いが足り無い。車の温度計は37℃を記録した。
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2025.07.22
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京都西山・愛宕山・・・・2025年07月19日
樒ヶ原の駐車場は案外に涼しかった。ここを猛暑が襲うようなら行くところに窮する。ここから嵯峨水尾までの数キロは木陰の府道、水尾から愛宕山まで樹林の回廊を登る。少々の日射し程度で揺るぐものでは無いのだ。用意の間にもう1台、出て来られたのは男性1人、近頃は廃道と化した旧参詣道を辿る方もおられはするが、どれを取っても楽しくは無い。風に吹かれて木陰を歩き、草葉の陰で大汗になり、もって表参道を(できれば)悠々と歩くスタイル、は中々良く出来たコースだと思っている。 曲折の多い杉林の道に車が多い。がこれも、庶民の移動時間を過ぎる頃には静謐を取り戻し、国際色豊かなよろめき自転車の時間帯、清和天皇に朝の挨拶をする傍ら、挨拶に限れば達者な日本語で、白人の凸凹コンビが登って行った。ここ迄はほぼ降るばかりの道のりで汗は無い。水尾の湧水は冷たく、柚子は未だ青く小さい。集落中程の案内を境に、汗の噴き出す様な急斜面の道に代わる。この道を、車で登ろうとした親子を思い出した。あれは楽しい親子であった。 坂道の途中、ビール350円・梅干しあります、とサンプルを門先に列べた家があった。降りなら魅力的なディスプレイだが登りで見せられても如何なものか。しかしビールは安い。くの字を書いて登るコンクリート道も少なかろう。本番前に大汗である。愈々本番の樹林の回廊、響きは良いが実に厳しい斜面が続く。緩むところは皆無である。トレランスタイルの若者は早い。が、地図を見ながら明瞭な道を誤るようでは心もと無い(小原道という未踏ルートがあるようです、ごめんね)。嘗ては、黒門手前の花売場まで毎日登ったと言う水尾の方々は達人である。 何とか表参道に到達し、お休み小屋で身体はお休み。壁掛けの温度計は25℃。実際はもっと涼しく21℃くらいの手持温度計に軍配。ここからはひたすら恋しい黒門の影、往来の中、情け無い格好はご法度である。黒門が見えて漸く愛宕山休憩所。賑やかな方々の隣の方に席を占め、20℃ばかりの微風の中でエネルギー補給。途中で抜いた初老の男性が到着した。 一服するには境内は憚られる。愛宕さんは火の神様、点けた途端に大雨では皆様に申し訳無い。ジープ道に移動して一服、目の前をトレランの二人が行く。彼らを追う形でジープ道を降る。展望の拓ける地点で何やら起きるざわめき。草木の無いここは水尾に降る谷の源頭部で、その様な大会のコースである。ここを降る若者が二人、遅ればせながら、先の二人の姿も急斜面に消えた。 これは若者のお話で、よもや年の頃は6〜70、どうみてもよいお歳のアベック、触発された様子でジープ道を今から降り登って来ると仰る。距離は少なく標高差は500ほど、厳しい斜度ではあるが不可能では無い。が、着衣などの乱れとともに、再び登って来られた時は正直驚いた。近頃のおじ様おば様には頭が下る。 CGI-design
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