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2025.08.04
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 湖南アルプス・笹間ケ岳・・・・2025年08月02日
アメダスを見るとどこもかしこも危険な気温、せめて水に親しむ事が出来れば過ごしやすい。台高などに行こうと思えば片道4時間ほども必要で、それで沢の傍を歩くだけでは勘定が合わない。無駄を承知で、近くて木陰が多くて風も少々、綺麗で涼しいところ、を探してみたがあるわけはない。天気図には近付く台風の影響がジワリ、関西は概ね北からの風。琵琶湖を渡る風の行き先は湖南だ。今日の湖南アルプスは涼しいに違いない。流石に焼けた低山に長居は禁物、1度歩いたきりだが笹間ヶ岳は距離もなく標高差も少ない。 今日はお休みなのか、高速道路の工事現場に人影は無い。登山口横の駐車地に先行車は1台、早朝の散歩を終えた方が降って行く。暫くは谷川に沿うルートで未だ早朝と云う時刻、涼しさどころか妙に湿度が高い。一晩経った後の岩から熱線が出ている。流れる水に手を浸すと、けっこう冷たくて5分間は歩く力になる。風の無い谷底から這い出ると僅かな風が有難い。シダの道から二人の男性が降って行った。 尾根に出たところに砂礫で出来た池がある。周辺には小さなトンボが翔び小さな花が咲いている。肉眼でも見えないものを写そうと云うのだから、工夫なしではまず無理だ。「考える葦」の実践には暫し時間が必要、で多いに道草を食う。食った結果はミミカキグサ、ミカズキグサであった。期待したように、雲の多い空で陽光は少ない。が、一旦お日様が覗くと過酷な暑さ、腰を上げるとクラクラする。次の池ではサギソウを探してみたが未だ尚早、どのようにして住みついたものか、池の主はウグイである。 ほぼ平坦な木陰の先に平坦地がある。流れの先は古い砂防ダム、そこには鮒の一族が住み着いていて、アカハライモリが下宿人。水際に映る人影などに動じる様子は微塵も無い。人であれば、仙人の域にあるものと考えてよい。木のベンチにザックを降ろして歓談する事暫し。遂にはパンの饗応を提案してみたが一族の口には合わず、虚しく水底の藻屑と成り果てた。一族はまた、詰まらなそうに、各々池の周りの散策に戻っていった。 さて、随分長居をしてしまった。低いとはいえ、巨岩の立つピークは目の前にあるはずなのだ。シダの尾根を超え岩場のザレを降り、記憶のピークはとっくに過ぎても未だ到達しない。記憶のあてにならない事は今更ながら、着いたピークの大岩へ登り、琵琶湖を見下ろしながら冷たい物で身体を冷却。食欲は無し。北側を覗き込むと概ね30mくらいの高さで冷や汗は出ない。岩を降りると気持ちの良い風があった。 周回ルートは確認が出来てないのでピストンする。降りの道草は食わないように心掛けたつもりであるが何分にも興味深い地域であるから足が止まる。愈々盛んに溢れる汗。木陰の下に止めた車は34℃、汗を止める手段はエアコンの他に無い。
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2025.07.28
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 丹波・岩屋山・・・・2025年07月27日
6月は遠いヨーロッパで猛暑があった。近頃は北海道で40℃の予報がでたり水不足の水田で発育期の稲が枯れ始めたり、人族は愈々見体験の領域に入ったらしい。しかし、このところ強烈な陽射しの収まる黄昏時、何やら涼し気な風を感じる。暑気への耐性が出来てきたのか実際にその様な風が吹くのか、地球規模の大気の循環を見てさえようわからん。そこで何とか知りたいと思っているのが縄文時代の気候である。8000年前の縄文遺跡は東に多く西にはほぼ無い。居住条件によるものならば、西は暑くて選択肢を外れた?。栗などの堅果類は熱帯には少なく、海の資源は寒流の流れ込む北に軍配。だけど熱帯ならばバナナがある。栗より食べ易くて苦労が無い。では、アジアモンスーンに異変が生じ、結果、西日本はサバンナが広がった?。 考えると際限が無いので終りにしよう。今日のコースの暑いことについては疑う余地が無い。イロハモミジの駐車地でさえ25℃を超えている。本来は民の苦難を救うべき2体の毘沙門天、ただ立ち尽くすばかりで、見開いた眼差しはあらぬところに注がれている。まさかに少し動いたのか、確認したいが足元が見えない。覗き込む横を檀家さんらしき軽トラが盛んに降って行く。盆前の掃除かな。 水の滲み出る谷川の横を通り、防獣柵を空け取り付いた岩尾根はやっぱり暑い。谷間の中は風が無い。風を求めてトボトボ登るとお日様が届いた。無体な振る舞いではあるが風は起こる。松の木陰で風を待ち熱冷まし。僅かな木陰も無い辺りは、素早く移動しないと焦げ目が着く。踏み跡に近頃の痕跡があった。このルートは確か4回目で、出会った人は2人だけ、とすればあの若者かな。しかしよく落ちる汗。 尾根に乗ると風は強い。もっとも狭い辺りに尾根を越えて這うパイプがあった。やや古いものだが東側でも見かけたようだ。水道設備以前のお寺の水源だと思う。急斜面を登ると祠のある岩屋山。正確には、山と古城を偲ぶ祠で山頂と城跡は無い。城の痕跡ばかりは残っている。 岩屋山から鉱山跡に降る急斜面はよく滑る。お助けロープはあるものの、照葉樹の落葉は乾いて滑り台。落葉樹の葉は、寒さから落ちた後も根を守る。照葉樹は、腐食に強い葉で数年かけても分厚い布団を作りたい、と意図している?。急斜面を降ると鉱山跡、木陰でもほぼ風の無い岩の中は乾いて暑い。暑かろうが先ずは岩の観察。踏込んだところで突然、隼と大型の猛禽2羽による空中戦らしき光景が起こり、鉱山跡に木霊する鳴き声がピー、ピー。数分後には静寂が戻ったものの、何事であったか知る術が無い。最後は溶岩の貫入跡だと云う輝緑岩を見てエネルギー補給。水は無いので珍しいトンボの翔ぶ姿も無い。 岩の中を少し離れると風があって生き返る。そんな道にトグロを巻いた小さなマムシが一匹。危うく踏み殺すところだ。他に訪れる人の心配は無いから安泰だろう。石龕寺奥の院まで降って一休み。足利将軍幽閉所跡は劣化が進み立ち入り禁止、最後に鐘を2回突いた。見下した街の、何処でどんな音が届くものか、知りたいものだ。見回した空に、真っ白な3次元的な雲が立つ。夕立には勢いが足り無い。車の温度計は37℃を記録した。
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2025.07.22
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京都西山・愛宕山・・・・2025年07月19日
樒ヶ原の駐車場は案外に涼しかった。ここを猛暑が襲うようなら行くところに窮する。ここから嵯峨水尾までの数キロは木陰の府道、水尾から愛宕山まで樹林の回廊を登る。少々の日射し程度で揺るぐものでは無いのだ。用意の間にもう1台、出て来られたのは男性1人、近頃は廃道と化した旧参詣道を辿る方もおられはするが、どれを取っても楽しくは無い。風に吹かれて木陰を歩き、草葉の陰で大汗になり、もって表参道を(できれば)悠々と歩くスタイル、は中々良く出来たコースだと思っている。 曲折の多い杉林の道に車が多い。がこれも、庶民の移動時間を過ぎる頃には静謐を取り戻し、国際色豊かなよろめき自転車の時間帯、清和天皇に朝の挨拶をする傍ら、挨拶に限れば達者な日本語で、白人の凸凹コンビが登って行った。ここ迄はほぼ降るばかりの道のりで汗は無い。水尾の湧水は冷たく、柚子は未だ青く小さい。集落中程の案内を境に、汗の噴き出す様な急斜面の道に代わる。この道を、車で登ろうとした親子を思い出した。あれは楽しい親子であった。 坂道の途中、ビール350円・梅干しあります、とサンプルを門先に列べた家があった。降りなら魅力的なディスプレイだが登りで見せられても如何なものか。しかしビールは安い。くの字を書いて登るコンクリート道も少なかろう。本番前に大汗である。愈々本番の樹林の回廊、響きは良いが実に厳しい斜面が続く。緩むところは皆無である。トレランスタイルの若者は早い。が、地図を見ながら明瞭な道を誤るようでは心もと無い(小原道という未踏ルートがあるようです、ごめんね)。嘗ては、黒門手前の花売場まで毎日登ったと言う水尾の方々は達人である。 何とか表参道に到達し、お休み小屋で身体はお休み。壁掛けの温度計は25℃。実際はもっと涼しく21℃くらいの手持温度計に軍配。ここからはひたすら恋しい黒門の影、往来の中、情け無い格好はご法度である。黒門が見えて漸く愛宕山休憩所。賑やかな方々の隣の方に席を占め、20℃ばかりの微風の中でエネルギー補給。途中で抜いた初老の男性が到着した。 一服するには境内は憚られる。愛宕さんは火の神様、点けた途端に大雨では皆様に申し訳無い。ジープ道に移動して一服、目の前をトレランの二人が行く。彼らを追う形でジープ道を降る。展望の拓ける地点で何やら起きるざわめき。草木の無いここは水尾に降る谷の源頭部で、その様な大会のコースである。ここを降る若者が二人、遅ればせながら、先の二人の姿も急斜面に消えた。 これは若者のお話で、よもや年の頃は6〜70、どうみてもよいお歳のアベック、触発された様子でジープ道を今から降り登って来ると仰る。距離は少なく標高差は500ほど、厳しい斜度ではあるが不可能では無い。が、着衣などの乱れとともに、再び登って来られた時は正直驚いた。近頃のおじ様おば様には頭が下る。 CGI-design
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2025.07.14
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 両白山地・別山・・・・2025年07月12日
楽してお山に登りたい訳では無い。限り有る元気は有効に使いたいと思えばこそ、無駄な消耗を極力抑える手段として送迎バスを使う。別当出合の標高まで、チブリ尾根を登った場合を想像するに、この暑さでは恐らく小屋止まり。バスに揺られたお蔭で南竜までの途が拓けた。南竜からは大屏風を経て別山へも可能な事は昨年実験済。今日は改めて再挑戦である。なにしろ前回見たものといえば、崩壊地の片隅に、雨と流れるガスの中に浮かんだ池塘のみ。 バスを降りた方々の多くは、谷に掛かる吊橋を渡って砂防新道を登る。もっともポピュラーなルートであろうと思うのだが、降って来られる方々もやはり多くて途絶える事が無い。子供を含む文字通りの老若男女が行交う道である。そんな道ではあるが、やはり登りの身体に暑さは大敵。お友達らしき初老の男性三人のお顔は水のカーテン、吐く言葉こそは意気軒昂、随所にお休みを挟むから言葉ほどは捗捗しく無い。久しぶりに重いザックを担ぐ当方とは抜きつ抜かれつの仲である。 一見すると、幌馬車強盗を想起させる黒マスクのお若い女性軍は苦しげな様子。西部劇では馬に跨る方々であるから、徒歩で日本の夏山では無理も無い。見ていると、何の苦も無く登る子供は親より元気が良い。皆様の目指す室堂平周辺には未だ残雪が見える。上を目指す方々とはここで別れて急斜面の山腹の途を南竜ヶ馬場へ。途端に人影は絶え、斜面のあちこちにニッコウキスゲが咲き乱れる。テント場などが見えてくる辺りはハクサンコザクラがお出迎えだ。お花は良いが、いたるところに残る雪渓は剣呑、テント場に至る橋は未だに雪の下であった。 さて、賑やかなテント場の一夜は空けて時刻は6時、湿原に咲くお花はチングルマ、何度か見たものは毛深いものばかりで、大量のうぶ毛の花は滅多に無い。いきなり良いものを見せて貰って意気揚々、谷に降るルートでこれまたいきなり雪渓に出た。先行する若者はアイゼン、こちらはストックとビブラムソール。問題無く谷源頭部に降り、油坂の頭への厳しい登坂ルート。ここでも雪渓を歩いて山頂直下、東に延びる枝尾根のガレは圧巻であった。切れ落ちる僅かな岩場に朝日を浴びたニッコウキスゲが揺れる。 大屏風の所以は大量の雪によるものか、崩壊の進む枝尾根は須らく東側だ。そんな尾根のところどころに池塘がある。雪の残る池塘の周囲は花園である。故に踏込む事が憚られる。そんな細尾根が続くと流石に花園にも飽きて来た。御舎利山が覗く辺りは細尾根から一転、重量感溢れるお山らしい景色。闊達な山腹にハイカーの姿も多い。当然ながら山腹道は登り基調で陽光は暑い。ただ通過する雪渓は勿体ない。尾根まで上がると西の風には冷気があってホッと一息。念願の別山の頭を踏んでエネルギー補給、途端に南から攻寄る雲は別山平への眺望を奪った。白山はあんなに良く見えているのに、一筋縄ではいかないのだ。 最後はやはり、長くて暑いチブリ尾根の降りである。激斜面を登って来られる方々が三々五々、溶けてしまいそうな様子で無言。山のあなたの空遠くは、到達不能な遠い世界。もうこの尾根歩きはおしまいにしようかな。
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2025.07.08
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 宝塚 ・丸山湿原・・・・2025年07月05日
色々な思いはあるものの、この暑さこそは無視できない天敵とこころへ、耐暑訓練と秘かな興味を胸に、人影の無いゲートを抜けた。湿度は飽和状態で余りは霧と露、やや薄暗い谷間の朝は昼間の暑さを連想させる。大岩ケ岳へ途を分ける辺りにササユリは無い。細やかな流れの谷に涼しげな水音は無い。局所的な雨でもあれば、草木のみならず秘かな楽しみにも多いに寄与する。雨、頼みます。 水ものは少ないもののクモの巣は多い。汗の顔に貼り付いて厄介だ。藪とは云え、都市部を離れたこの山林の中で朝の気温は25℃、歩くと直ぐに汗になる。前方が明るくなって湿原に到着、風が欲しい。日がさせば風は起きるが気温も上がる。生まれいずる悩みは尽きない。さて、今頃のお花は、と見た木道の横に咲くカキラン。小さな株ばかりで、昨年あった大きな株は影も無い。多年草で足も無ければ車も持たない。展望台の周辺、その他、許された範囲で捜索してはみたが他に姿は無い。 お花の鑑賞を終え次の目的地へ移動しよう。遂にお日様が顔をお出しになり暑い。同時に風も起きるし霧は晴れ明るい。明るさは滅びの色かな。直ぐに気温は30℃超え。クリは実を付けたばかりでとても小さい。中には赤茶けて枯死したものもあり、彼らも近々引越しを検討するだろう。そんな事に頓着なく、元気な葉を広げるホウの幼木。辺りに木霊する声はウグイスばかりだ。 移動といっても距離はある。風の抜ける小山のピークで木陰を探して水飲み休息。地を這い上がる風は冷気を妊み涼しい。ザックを降ろした背中を抜ける風は大変に気持が良い。前方は大岩ヶ岳のピーク。今のところ人影は無い。その大岩ヶ岳ルートに出て、羽束川に掛かるなんとか橋方面へ移動、背丈を超えるシダと笹薮のトンネル、クモの巣に加えてダニなどが厄介。 千刈ダムの駐車地を見下ろすと、愈々上がる気温の中、今からお山に向う方々が一人二人、褒むべきか叱責すべきか多いに悩ましい。灌木の林が切れる辺りで次の目的を果たし、さあ帰ろうという頃にはヘロヘロだ。焼けた土・岩の上は呼吸困難、汗の栓はいつの間に壊れてしまった。尾根の木陰に座り込んで、冷たいもので内側から冷却、食欲はない。この暑さの中、こんな丘陵歩きは自殺に等しい。実感である。 大岩ヶ岳手前で谷に降る。谷の底には未だ冷気が残り、僅かな水の流れの傍で、羽化後のトンボが羽根を安める。ツチアケビは今年も全ての花を食べられていた。暑い駐車場に他に車は無い。
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2025.06.30
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京都西山・行者山拾遺・・・・2025年06月28日
暫くは梅雨が続くものだと思っていたら、呆気なく、気象庁は梅雨明けを宣言した。八大竜王を呼ぶ事もなく、一見穏当に見える梅雨ではあったが早足で過ぎた後遺症は水不足だけだろうか。これから10月まで続く夏は脅威である。雨がないなら南部も有り、が今週は大人しく亀岡辺りでお茶を濁そう。寒気のお蔭で湿度は低い。行者山の北部探索は残っている。 南からの千手寺ルートは体験済、寺までの道のりはやはり徒歩が望ましく防獣柵の手前で車を捨てた。側溝を流れる水には勢いがあって涼しげな様子、だが日射しは厳しい。綺麗に草刈りの済んだ中に佇む白いパンサー、克く見ると虎らしき紋様もあり、とするこれはホワイトタイガーと言う事になるのだが何とも判断が難しい。 寺へと続く樹林の回廊では、山肌に例の怪しいシダが光る。セラギネラ属イワヒバ科コンテリクラマゴケ、という一見すると西洋風の名称、漢字にすると紺照鞍馬苔、なんじゃい、鞍馬辺りの紺色の苔かい、と言いたくなる様な名前である。何れにしても、夕闇迫る寂しい道では会いたく無い生き物だ。谷川に沿った山林には耕作地の跡が残る。人工林を取り払い、耕作地に光が入るととても明るい里山が出現する。熊の出没を心配する事も減るだろう。 千手寺の、水の流れる手水鉢の傍で一休み。目にも身体にも優しい緑の遠景は京都の西山辺り。舗装路を東へ歩くと登山口、この先の谷には鉱山があったらしい。転がる石に鉱床らしきものを示す成分が光る。堂徳山までの僅かな登りでソロの男性ハイカーと遭遇した。無人の堂徳山で熊用の半鐘を鳴らして針路を北へ。近頃の踏み跡の無い林床を降る。 薄暗い林床ではあるが汗はでるから目的の大半は達成してはいる。もとより低い山地をどんどん降る。遂にお山が尽きて、明るい林の中の古道を辿ると集落が見えた。ズボンの上を這う大きなダニも道行である。いつまでも一緒では新聞種になる恐れもあるから降りて頂いて、後は鹿の踏み跡を辿れば集落に着く。鹿は信のおける案内役で間違い無い。着いたところは神前、良い地名で周囲を小山に囲まれた住みやすそうな所だが、荒廃の色は隠せない。千手寺へのルートはところどころに建てられた古い標柱の「左せんじゅじ」を辿れば良い。
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2025.06.23
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 中国山地・氷ノ山・・・・2025年06月21日
福定アルペンロードと云う、立派過ぎる名前の道の先に駐車場が見えた。駐車場から溢れそうな位置で山支度に勤しむ方がおられる。手前に止め、場内の様子を見たところ、何処にも空きが無い。路肩には金属のポールが立ち駐車厳禁、思い描いた計画が崩れて行く。この上は、素直に道を詰め、スキー場から東尾根経由の周回コースが可能だが、今日の目的の一つは覚束ない。虚しいスタートになってしまった。スキー場に向かう道中、車道を登り、東尾根から歩こうと云う方もおられる。降れば車の待つ駐車場、そこから登り返しが待つ者との差は歴然だ。 スキー場のレストハウス辺りに車は無い。緑のど真ん中に車を止め、眺めた北の空はガスの中、雨は無いそうだから寧ろ有難い。雲が取れたら30℃を超える下界と同じだ。そうは云いながらも気力がね〜、路傍の小石に語りかけても詮無い事だ。日射しの少ない風のある日であるが身体は重い。人工林の急勾配の斜面に続くくの字の途をトボトボと歩く。程よく汗が滲む頃には東尾根避難小屋、ここで少々お休みを入れ、山ぶどうのでき具合などを観察。合わせる様にカッコウが鳴いた。 早い方々はもう降って来られる時間、情け無い様子は見せられない。幸いこの先は神大小屋までの山腹コース、小さな沢などの流れる楽しいコースで身体への負担は少ない。勢い良く囀るコマドリの声は、勢力を伸ばしつつあるソウシチョウの存在を忘れるほどだ。登山道で遊ぶヤマドリの雛を見た辺りを過ぎると無人の神大小屋が見えて来た。ちょっと早いがテラスに入ってエネルギー補給、もったいなくも、汗が冷えると寒い。大段ヶ平コースに熟年登山者が多数到着、前の石に腰掛け賑やかにお話タイム。恐るべきは彼らのお話エネルギー、ほぼ無尽蔵だと思う。 小屋からは、お山にあることを忘れる程の人混みが続き、着いたピークに食事中の方々が数人のみ。ガスで遠望は無いから、ピークの特性の半分は失われている。流れるガスの合間に鳥取側の様子を拝んで直ぐ、氷ノ越に向って下山。時々登って来られる方々はほぼ軽装であった。長い尾根道を降り、峠の避難小屋を境に、福定からの登りの方は全く無し。ブナの林に続く古道を降り、草臥れた臨時のハシゴ場を過ぎるととても古い、仏像の安置された小屋がある。旅人に一夜を貸したものであろうが薄暗くてちょっと不気味。せめて灯の用意があれば避難小屋になるだろう。 ここからは急斜面の危険なルート。雪が無くてもチェーンスパイクがあると有難い途だ。こんなルートを拓く必要は何であったろう?、そんな疑問に応えるように、深い谷間にアカショウビンの声が響く。さて、降った福定のキャンプ場、ほんとならこれで終了、だが今日はスキー場までの舗装路が残る。スキー場から降って来られる方々は多い、登る方は他に無い、沸々。しかし、登る舗装路の路肩では、点々とアジサイが咲きササユリが咲き、むむ、これはやはり、ユリ姫様のご加護のもとの山行であった、と締め括る事にしようかな。
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2025.06.09
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 中央アルプス・将棊頭山・・・・2025年06月07日
桂木場駐車場には8時半、ぎっしり詰まった傾斜地に空きは無い。梅雨入り前の駆け込みは、世相を反映して慌ただしい。少し降った、信州大学の山小屋の先なら横向き駐車が可能。有り難く止めたところへ後続車があり直ぐに降って行く。こんな時間に珍しい、と思いながら、歩き出したところへ現れた若者1人、先の車の主に違いなく、トレラン姿がよく似合う。後に続いて、クラシックルートに入ると前方に人影は無い。今回もやはり、しんがりを引き受ける事に確定した。 人の無い、カラ松の林の薄暗いルートも、見るべきものさえあれば楽しくもある。ウド(独楽)の姿はところどころ、ウドのどこらあたりに孤独を楽しむ様子があるのか不思議、他に菫がポツポツ、寂しい林床だ。ハルゼミの合唱はあれども身体は重い。上手く出来たコースは降りでは長くて憂鬱だが、登りはやはり歩き易い。黙々と歩けば汗になる。重い身体もやや楽になり、第2の水場辺りは林床も明るい。 未だ早かろうと思ったベニバナイチヤクソウ、固い蕾の中にも開花が2つ、ピンクの花が有難い。柔らかいカラ松の葉叢の先に、残雪で一際明るい、森林限界を超えた尾根が覗く。この先は霧の多い地形らしく、カラ松の枝に布状の苔が見られる。その名はサルオガセ、夕闇迫る頃には幽鬼にも姿を変える森の精霊だ。薄暗い頃に、異様な気配で振り返ると、幽鬼となったこの苔に襲われると云う伝承がある、かも知れない。 2000の尾根に乗るところに山の神の祠がある。何やら気になって、今回は始めて挨拶をした。しかし、後顧の憂いは山の神にも如何ともし難く、ザックを下ろしてエネルギーを補給しよう。概ね800を登って、朝食のきしめんとご飯半分を消費した。この先に向けたエネルギーは、、、心細い。ま、歩けばいつかは着くだろう。権兵衛峠への途は藪に飲まれて廃道だ。白川方面は降った先の林道が長い。尾根に出るとダケカンバと大シラビソの林床を行く。時に御岳辺りがチラチラする。山裾まで出した御岳は態度がデカい。腰から下は隠すのがエチケット。小さなイワカガミの教育には良く無いのだ。 鳥はけっこう賑やかに鳴く。林床には愈々花は無い。ルーペで見るとやっと見えるサイズの花ばかり。大樽小屋で、今日は重いザックを下ろして小休止。一服などしながら小屋の観察、泊まりたいとは思わない。さて次は難関、胸着八丁、途中には、美しいタカネザクラが待っている、かな。雪の出てきた岩尾根を登り、辿り着いたタカネザクラ御殿の前、案内を頼むと未だお休みの由、蜃気楼の如き八丁の頭を目指してよろめきながらの登り。待っていたのは、まことに小さなヒメイチゲと、ややフライング気味のタカネザクラだ。 残雪の上を歩き岩尾根を登り、将棋頭から谷を隔てた駒ケ岳・改めて御岳山にご挨拶、雷鳥の姿は無い。雷鳥の所在をお聞きしたところ、昼からは駒ケ岳の方に見かけたらしい。コガラから茶臼山を周回する方であった。南には甲斐駒ヶ岳も覗いている。ここで、おもむろに酒・タバコを取り出し、東の方に献盃の儀、永劫回帰は否定される筈は無い。あまり飲んでは帰りの途が覚束ない。先の男性の後姿を、茶臼山の岩塔に消えるまで見送って、お山を降る。明日の雨の予報は、どうやら当らなくて済むらしい。降りもやはり、しんがりである。
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2025.06.02
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京丹波・長老ケ岳・・・・2025年05月31日
西に行けば雨に強風、加えて寒気が着いてくる。先週撤退した比良で東の風では湖西線は運休ではないか。南は雨に決まっている。残るところは北しかない。北のお山の天候を占ったところ、長老ヶ岳に傘マークは無い。ナツツバキにはやや早いものの、近くのお山は熊も出たようで、贅沢を云う余地が無い。 黒雲の下、仏主の駐車地は当然無人、嵐の前の静けさの中、谷の瀬音にカジカガエルの声が混じる。俄に感じる水の匂いは夏のものだ。滑り出しは大変良い。橋を渡り、繁茂する山裾辺りの草むらに、山椒に加えて黄色いモミジイチゴと赤いクサイチゴを発見した。近頃はイチゴの類は芽吹いたところを鹿に食べられ、人様の目に触れる機会は滅多に無い。当然ながら、大きくて綺麗なものは有難く頂く事に決まっている。 キャンプ場跡地までの杉の林は関門と心得ている。高度差・距離ともに貴重な区間だ。関門ではあるが、高度を稼ぐとヤマボウシやミズキ・カマツカなど、木本の花の咲く辺りは眺望も良い。花の間に覗く集落は絵になる地点で「展望所」の立札があった。その板も今は無い。大きな葉を付けたハクウンボクは久しぶりにお目にかかる。 生長する樹木に年々埋もれる管理棟の前で汗を拭き、暗いながらも京丹波の山々を眺めて、更に暗さを増した尾根へと続く藪のトンネルへ突入、熊さんに、この笛の音は届くだろうか。時に吹く風に癒やされながら歩いた尾根上は、狂乱の世界であった。予報で風速20m、気温7℃とあった通り、手持ちの温度計では6℃である。ボチボチ歩いていては低体温症で死んでしまう。ピーク下までほぼ駆け足、ガスに混じる雨が冷たい。ぼんやり見えた黒い影は熊にあらず、逞しい男性ハイカーであった。 ピーク下から周回コースで降るべく林道を歩く。お山の影で風ほどは幾らか落ち着いて、雲間から日射しも覗く回復傾向、しかし気温は未だ低い。聞き覚えの声はアオゲラの雛だ。やがて気付いた親鳥が盛んに泥棒、泥棒と騒ぐ。雛は愈々ジュージュー鳴く。あ〜早よ行こう。降る道の前には柔らかくて繊細な、できたばかりの樹冠が綺麗だ。大きな葉の上に咲くホウの花、進化の過程で取り残された様なところが可愛らしい。はるばる飛来したオオルリに陰りはなく、ジュウイチには爆発する勢いがない。 エネルギー枯渇が著しく、トチの落花に埋まるキャンプ場跡で補給タイム。時計をみると13時前、こんなに早い周回は新記録だ。これが何かの力になれば有難い。そんな光景を終始目にした巨大カツラは知らん顔、本来は終りに近いタニウツギは小さな蕾を残して花束に、手を浸けた谷水は温水を流して労をねぎらった、と言う事にしよう。
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2025.05.19
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 加東市・三草山・・・・2025年05月18日
今日は三草山で汗をかく。一周6km、累積標高で500に満たないお山である。せめて目の前の大坂山なら歩き甲斐もあるだろう。しかし、昨日の雨を集めた数曽寺谷は歩けない。もっともらしい訳を見付けて駐車場の最奥辺りに車を止め、外に出ると風が無い。先行者は多く、いつもいつも時計回りで、暑いだろう岩尾根が浮かんでは消え、そうだ、今日は逆回りで池から始めよう。池への道は真っ赤なタニウツギが咲きガンピが咲き、因みにガンピの樹皮ば桜に似て和紙の原料、季節は既に初夏である。 幾らか水の少ない昭和池の水面は蒼く、水に親しむ季節にはやや早い。モチツツジの咲く湖畔の道を辿って露出する湖面を少々歩く。散らばる石は堆積岩か礫岩で、金属的な音を発するものは接触変成岩の類であろう。素人の見立であるから精度についてはご容赦を。林の方でウグイスが呼ぶ。涼しい水面を離れ、木陰を過ぎた灌木と岩・ザレ場の上はとても暑い。髪を濡らして汗が落ちる。増殖中のソウシチョウの声は愈々もって暑苦しい。それが故の特定外来種ではあるまいが、も少し穏当な鳴き方だってあるだろう。今年初めて聞くハルゼミは参考になろう。 ふと見た足元に、煌めく露を宿したイシモチソウが一叢、5弁の花にはやや早く、粘着く触手は面白い。イシモチソウには多いに迷惑な来客だ。そんな道草を食いながら、センダイムシクイの鳴く尾根のベンチで小休止、生温い水でも補給しないと立ちくらみがする。静かな尾根にも降って来られるハイカーの姿が1人2人。さて行こう。 南尾根に乗った辺りで風がある。涼しげなウラジロノキをバックに未だ熱く無い岩に腰掛け小休止、茶屋の欲しいロケーションだ。広大な播州の地平が目の前に広がる。腰を上げると少々高度を失う地形、当然ながら、失った高度は補って後山頂に至ると云う不条理が山歩き。考えてみると、スポーツなどと称するものは須らくこの手の不条理が付き纏う。「この汗を見よ」を書いても売れる気遣いは無用であろう。 大汗かいて到着した三草山ピークにお休みの方々が6〜7人、この暑気の中でもラーメンを作る方が目の前のベンチ。漂う温気に混じるスープの匂いは悪く無い。真っ赤な顔で、ラーメンを啜るお顔は達人に違いない。ひきかえ水気の無いパンは食欲を唆る資質に欠ける。大いに考察の必要を悟った場面であった。止む終えないので、アンパンを齧ろう。アンパンは昨今の人気を集める食品の一つだ。 南中するお日様を待つと暑さは募る、最後は岩場の続く尾根降り。降る岩場の気温は28℃、白いカナメモチの花には涼しさがあった。降った駐車場の気温は30℃を越えていた。
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