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お知らせ
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2025.06.30
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京都西山・行者山拾遺・・・・2025年06月28日
暫くは梅雨が続くものだと思っていたら、呆気なく、気象庁は梅雨明けを宣言した。八大竜王を呼ぶ事もなく、一見穏当に見える梅雨ではあったが早足で過ぎた後遺症は水不足だけだろうか。これから10月まで続く夏は脅威である。雨がないなら南部も有り、が今週は大人しく亀岡辺りでお茶を濁そう。寒気のお蔭で湿度は低い。行者山の北部探索は残っている。 南からの千手寺ルートは体験済、寺までの道のりはやはり徒歩が望ましく防獣柵の手前で車を捨てた。側溝を流れる水には勢いがあって涼しげな様子、だが日射しは厳しい。綺麗に草刈りの済んだ中に佇む白いパンサー、克く見ると虎らしき紋様もあり、とするこれはホワイトタイガーと言う事になるのだが何とも判断が難しい。 寺へと続く樹林の回廊では、山肌に例の怪しいシダが光る。セラギネラ属イワヒバ科コンテリクラマゴケ、という一見すると西洋風の名称、漢字にすると紺照鞍馬苔、なんじゃい、鞍馬辺りの紺色の苔かい、と言いたくなる様な名前である。何れにしても、夕闇迫る寂しい道では会いたく無い生き物だ。谷川に沿った山林には耕作地の跡が残る。人工林を取り払い、耕作地に光が入るととても明るい里山が出現する。熊の出没を心配する事も減るだろう。 千手寺の、水の流れる手水鉢の傍で一休み。目にも身体にも優しい緑の遠景は京都の西山辺り。舗装路を東へ歩くと登山口、この先の谷には鉱山があったらしい。転がる石に鉱床らしきものを示す成分が光る。堂徳山までの僅かな登りでソロの男性ハイカーと遭遇した。無人の堂徳山で熊用の半鐘を鳴らして針路を北へ。近頃の踏み跡の無い林床を降る。 薄暗い林床ではあるが汗はでるから目的の大半は達成してはいる。もとより低い山地をどんどん降る。遂にお山が尽きて、明るい林の中の古道を辿ると集落が見えた。ズボンの上を這う大きなダニも道行である。いつまでも一緒では新聞種になる恐れもあるから降りて頂いて、後は鹿の踏み跡を辿れば集落に着く。鹿は信のおける案内役で間違い無い。着いたところは神前、良い地名で周囲を小山に囲まれた住みやすそうな所だが、荒廃の色は隠せない。千手寺へのルートはところどころに建てられた古い標柱の「左せんじゅじ」を辿れば良い。
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2025.06.23
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 中国山地・氷ノ山・・・・2025年06月21日
福定アルペンロードと云う、立派過ぎる名前の道の先に駐車場が見えた。駐車場から溢れそうな位置で山支度に勤しむ方がおられる。手前に止め、場内の様子を見たところ、何処にも空きが無い。路肩には金属のポールが立ち駐車厳禁、思い描いた計画が崩れて行く。この上は、素直に道を詰め、スキー場から東尾根経由の周回コースが可能だが、今日の目的の一つは覚束ない。虚しいスタートになってしまった。スキー場に向かう道中、車道を登り、東尾根から歩こうと云う方もおられる。降れば車の待つ駐車場、そこから登り返しが待つ者との差は歴然だ。 スキー場のレストハウス辺りに車は無い。緑のど真ん中に車を止め、眺めた北の空はガスの中、雨は無いそうだから寧ろ有難い。雲が取れたら30℃を超える下界と同じだ。そうは云いながらも気力がね〜、路傍の小石に語りかけても詮無い事だ。日射しの少ない風のある日であるが身体は重い。人工林の急勾配の斜面に続くくの字の途をトボトボと歩く。程よく汗が滲む頃には東尾根避難小屋、ここで少々お休みを入れ、山ぶどうのでき具合などを観察。合わせる様にカッコウが鳴いた。 早い方々はもう降って来られる時間、情け無い様子は見せられない。幸いこの先は神大小屋までの山腹コース、小さな沢などの流れる楽しいコースで身体への負担は少ない。勢い良く囀るコマドリの声は、勢力を伸ばしつつあるソウシチョウの存在を忘れるほどだ。登山道で遊ぶヤマドリの雛を見た辺りを過ぎると無人の神大小屋が見えて来た。ちょっと早いがテラスに入ってエネルギー補給、もったいなくも、汗が冷えると寒い。大段ヶ平コースに熟年登山者が多数到着、前の石に腰掛け賑やかにお話タイム。恐るべきは彼らのお話エネルギー、ほぼ無尽蔵だと思う。 小屋からは、お山にあることを忘れる程の人混みが続き、着いたピークに食事中の方々が数人のみ。ガスで遠望は無いから、ピークの特性の半分は失われている。流れるガスの合間に鳥取側の様子を拝んで直ぐ、氷ノ越に向って下山。時々登って来られる方々はほぼ軽装であった。長い尾根道を降り、峠の避難小屋を境に、福定からの登りの方は全く無し。ブナの林に続く古道を降り、草臥れた臨時のハシゴ場を過ぎるととても古い、仏像の安置された小屋がある。旅人に一夜を貸したものであろうが薄暗くてちょっと不気味。せめて灯の用意があれば避難小屋になるだろう。 ここからは急斜面の危険なルート。雪が無くてもチェーンスパイクがあると有難い途だ。こんなルートを拓く必要は何であったろう?、そんな疑問に応えるように、深い谷間にアカショウビンの声が響く。さて、降った福定のキャンプ場、ほんとならこれで終了、だが今日はスキー場までの舗装路が残る。スキー場から降って来られる方々は多い、登る方は他に無い、沸々。しかし、登る舗装路の路肩では、点々とアジサイが咲きササユリが咲き、むむ、これはやはり、ユリ姫様のご加護のもとの山行であった、と締め括る事にしようかな。
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2025.06.09
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 中央アルプス・将棊頭山・・・・2025年06月07日
桂木場駐車場には8時半、ぎっしり詰まった傾斜地に空きは無い。梅雨入り前の駆け込みは、世相を反映して慌ただしい。少し降った、信州大学の山小屋の先なら横向き駐車が可能。有り難く止めたところへ後続車があり直ぐに降って行く。こんな時間に珍しい、と思いながら、歩き出したところへ現れた若者1人、先の車の主に違いなく、トレラン姿がよく似合う。後に続いて、クラシックルートに入ると前方に人影は無い。今回もやはり、しんがりを引き受ける事に確定した。 人の無い、カラ松の林の薄暗いルートも、見るべきものさえあれば楽しくもある。ウド(独楽)の姿はところどころ、ウドのどこらあたりに孤独を楽しむ様子があるのか不思議、他に菫がポツポツ、寂しい林床だ。ハルゼミの合唱はあれども身体は重い。上手く出来たコースは降りでは長くて憂鬱だが、登りはやはり歩き易い。黙々と歩けば汗になる。重い身体もやや楽になり、第2の水場辺りは林床も明るい。 未だ早かろうと思ったベニバナイチヤクソウ、固い蕾の中にも開花が2つ、ピンクの花が有難い。柔らかいカラ松の葉叢の先に、残雪で一際明るい、森林限界を超えた尾根が覗く。この先は霧の多い地形らしく、カラ松の枝に布状の苔が見られる。その名はサルオガセ、夕闇迫る頃には幽鬼にも姿を変える森の精霊だ。薄暗い頃に、異様な気配で振り返ると、幽鬼となったこの苔に襲われると云う伝承がある、かも知れない。 2000の尾根に乗るところに山の神の祠がある。何やら気になって、今回は始めて挨拶をした。しかし、後顧の憂いは山の神にも如何ともし難く、ザックを下ろしてエネルギーを補給しよう。概ね800を登って、朝食のきしめんとご飯半分を消費した。この先に向けたエネルギーは、、、心細い。ま、歩けばいつかは着くだろう。権兵衛峠への途は藪に飲まれて廃道だ。白川方面は降った先の林道が長い。尾根に出るとダケカンバと大シラビソの林床を行く。時に御岳辺りがチラチラする。山裾まで出した御岳は態度がデカい。腰から下は隠すのがエチケット。小さなイワカガミの教育には良く無いのだ。 鳥はけっこう賑やかに鳴く。林床には愈々花は無い。ルーペで見るとやっと見えるサイズの花ばかり。大樽小屋で、今日は重いザックを下ろして小休止。一服などしながら小屋の観察、泊まりたいとは思わない。さて次は難関、胸着八丁、途中には、美しいタカネザクラが待っている、かな。雪の出てきた岩尾根を登り、辿り着いたタカネザクラ御殿の前、案内を頼むと未だお休みの由、蜃気楼の如き八丁の頭を目指してよろめきながらの登り。待っていたのは、まことに小さなヒメイチゲと、ややフライング気味のタカネザクラだ。 残雪の上を歩き岩尾根を登り、将棋頭から谷を隔てた駒ケ岳・改めて御岳山にご挨拶、雷鳥の姿は無い。雷鳥の所在をお聞きしたところ、昼からは駒ケ岳の方に見かけたらしい。コガラから茶臼山を周回する方であった。南には甲斐駒ヶ岳も覗いている。ここで、おもむろに酒・タバコを取り出し、東の方に献盃の儀、永劫回帰は否定される筈は無い。あまり飲んでは帰りの途が覚束ない。先の男性の後姿を、茶臼山の岩塔に消えるまで見送って、お山を降る。明日の雨の予報は、どうやら当らなくて済むらしい。降りもやはり、しんがりである。
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2025.06.02
展示会出展情報
【2025年7月9日(水)~7月11日(金)】第37回ものづくりワールド[東京]に出展いたします
第37回ものづくりワールド[東京]に出展いたします。 販売生産管理や設計リードタイムの短縮にご興味がございましたら、実際の画面や動きもご覧いただけますので、ぜひご来場ください。 図面文書管理システム開発の枚岡合金工具株式会社様と共同出展しております。 【開催日】2025年7月9日(水)~7月11日(金) 【会場】 幕張メッセ 【小間番号】58-9 【時間】10:00~17:00
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2025.06.02
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京丹波・長老ケ岳・・・・2025年05月31日
西に行けば雨に強風、加えて寒気が着いてくる。先週撤退した比良で東の風では湖西線は運休ではないか。南は雨に決まっている。残るところは北しかない。北のお山の天候を占ったところ、長老ヶ岳に傘マークは無い。ナツツバキにはやや早いものの、近くのお山は熊も出たようで、贅沢を云う余地が無い。 黒雲の下、仏主の駐車地は当然無人、嵐の前の静けさの中、谷の瀬音にカジカガエルの声が混じる。俄に感じる水の匂いは夏のものだ。滑り出しは大変良い。橋を渡り、繁茂する山裾辺りの草むらに、山椒に加えて黄色いモミジイチゴと赤いクサイチゴを発見した。近頃はイチゴの類は芽吹いたところを鹿に食べられ、人様の目に触れる機会は滅多に無い。当然ながら、大きくて綺麗なものは有難く頂く事に決まっている。 キャンプ場跡地までの杉の林は関門と心得ている。高度差・距離ともに貴重な区間だ。関門ではあるが、高度を稼ぐとヤマボウシやミズキ・カマツカなど、木本の花の咲く辺りは眺望も良い。花の間に覗く集落は絵になる地点で「展望所」の立札があった。その板も今は無い。大きな葉を付けたハクウンボクは久しぶりにお目にかかる。 生長する樹木に年々埋もれる管理棟の前で汗を拭き、暗いながらも京丹波の山々を眺めて、更に暗さを増した尾根へと続く藪のトンネルへ突入、熊さんに、この笛の音は届くだろうか。時に吹く風に癒やされながら歩いた尾根上は、狂乱の世界であった。予報で風速20m、気温7℃とあった通り、手持ちの温度計では6℃である。ボチボチ歩いていては低体温症で死んでしまう。ピーク下までほぼ駆け足、ガスに混じる雨が冷たい。ぼんやり見えた黒い影は熊にあらず、逞しい男性ハイカーであった。 ピーク下から周回コースで降るべく林道を歩く。お山の影で風ほどは幾らか落ち着いて、雲間から日射しも覗く回復傾向、しかし気温は未だ低い。聞き覚えの声はアオゲラの雛だ。やがて気付いた親鳥が盛んに泥棒、泥棒と騒ぐ。雛は愈々ジュージュー鳴く。あ〜早よ行こう。降る道の前には柔らかくて繊細な、できたばかりの樹冠が綺麗だ。大きな葉の上に咲くホウの花、進化の過程で取り残された様なところが可愛らしい。はるばる飛来したオオルリに陰りはなく、ジュウイチには爆発する勢いがない。 エネルギー枯渇が著しく、トチの落花に埋まるキャンプ場跡で補給タイム。時計をみると13時前、こんなに早い周回は新記録だ。これが何かの力になれば有難い。そんな光景を終始目にした巨大カツラは知らん顔、本来は終りに近いタニウツギは小さな蕾を残して花束に、手を浸けた谷水は温水を流して労をねぎらった、と言う事にしよう。
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2025.05.19
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 加東市・三草山・・・・2025年05月18日
今日は三草山で汗をかく。一周6km、累積標高で500に満たないお山である。せめて目の前の大坂山なら歩き甲斐もあるだろう。しかし、昨日の雨を集めた数曽寺谷は歩けない。もっともらしい訳を見付けて駐車場の最奥辺りに車を止め、外に出ると風が無い。先行者は多く、いつもいつも時計回りで、暑いだろう岩尾根が浮かんでは消え、そうだ、今日は逆回りで池から始めよう。池への道は真っ赤なタニウツギが咲きガンピが咲き、因みにガンピの樹皮ば桜に似て和紙の原料、季節は既に初夏である。 幾らか水の少ない昭和池の水面は蒼く、水に親しむ季節にはやや早い。モチツツジの咲く湖畔の道を辿って露出する湖面を少々歩く。散らばる石は堆積岩か礫岩で、金属的な音を発するものは接触変成岩の類であろう。素人の見立であるから精度についてはご容赦を。林の方でウグイスが呼ぶ。涼しい水面を離れ、木陰を過ぎた灌木と岩・ザレ場の上はとても暑い。髪を濡らして汗が落ちる。増殖中のソウシチョウの声は愈々もって暑苦しい。それが故の特定外来種ではあるまいが、も少し穏当な鳴き方だってあるだろう。今年初めて聞くハルゼミは参考になろう。 ふと見た足元に、煌めく露を宿したイシモチソウが一叢、5弁の花にはやや早く、粘着く触手は面白い。イシモチソウには多いに迷惑な来客だ。そんな道草を食いながら、センダイムシクイの鳴く尾根のベンチで小休止、生温い水でも補給しないと立ちくらみがする。静かな尾根にも降って来られるハイカーの姿が1人2人。さて行こう。 南尾根に乗った辺りで風がある。涼しげなウラジロノキをバックに未だ熱く無い岩に腰掛け小休止、茶屋の欲しいロケーションだ。広大な播州の地平が目の前に広がる。腰を上げると少々高度を失う地形、当然ながら、失った高度は補って後山頂に至ると云う不条理が山歩き。考えてみると、スポーツなどと称するものは須らくこの手の不条理が付き纏う。「この汗を見よ」を書いても売れる気遣いは無用であろう。 大汗かいて到着した三草山ピークにお休みの方々が6〜7人、この暑気の中でもラーメンを作る方が目の前のベンチ。漂う温気に混じるスープの匂いは悪く無い。真っ赤な顔で、ラーメンを啜るお顔は達人に違いない。ひきかえ水気の無いパンは食欲を唆る資質に欠ける。大いに考察の必要を悟った場面であった。止む終えないので、アンパンを齧ろう。アンパンは昨今の人気を集める食品の一つだ。 南中するお日様を待つと暑さは募る、最後は岩場の続く尾根降り。降る岩場の気温は28℃、白いカナメモチの花には涼しさがあった。降った駐車場の気温は30℃を越えていた。
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2025.05.12
ニュース
HPをリニューアルいたしました。
2025年5月にホームページをリニューアルいたしました。今後は採用情報やブログなど、弊社の情報を積極的に発信してまいります。 今後ともよろしくお願いいたします。
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2025.05.11
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京都西山・地蔵山・・・・2025年05月11日
天気予報は夜から雨だと云う、が、北部の空を覆う黒雲は怪しい。天気図に見えない冷たい空気が流れて来ると雨だってあり得る。幸いな事に、樒ヶ原の上空には薄雲の中にも青空が覗く。他にハイカーの姿は無い。歩き出すと直ぐ、道上にクリンソウの畑があってお花は見頃。少し離れた府道沿いの石垣にはユキノシタ。天ぷらにもなる便利な花だ。近頃は見る機会の少なくなったジンジソウ・ダイモンジソウと同じ仲間でありながら、故なく人気の無い花である。 ジープ道をぼちぼち歩き。急斜面の凸凹道に散乱する片麻岩、特徴から判断すると、素人ながらホルンフェルスではないかと思う。腐敗の季節を過ぎ、再生の季節の林が美しい。額に汗して登ること1時間、愛宕山の一際小高い杉林が見えて来た。本来のピークは神社の中、旧スキー場へ越えると便宜ピークより高くて900を超える。地蔵山に続く尾根を歩くと辺りに人の気配が無い。人の気配の消えた新緑の林にヤマツツジが良く映える。 無人かと思った地蔵山には先行者が食事中。ガンダーラ文化の粋を極めたかどうだか克く分からない木仏の残骸を見て西向地蔵様にご挨拶。残念ながらカタクリはお終い、お地蔵様は変わらずにこやかであった。北側の空き地でエネルギー補給、芦見峠方面から来られた方々が賑やかだ。 ふと見た林床に咲く地獄の釜の蓋、別名キランソウだが、良く調べるとニシキゴロモ・ジュウニヒトエなどと麗しい名の花々もあって同定が難しい。同じシソ科の花なのに、何故地獄なのだろう。素朴な疑問。さて、峠から登って来られた方々がいて、話題にヒルのお話は無い。今年の春は些か寒い事だしヒルは未だお休みではないか、いやお休みに違い無い。お休みならば芦見峠に降って周回ができる。 降る道中、新たに熊用鐘が4箇所も設置された。何れも釜・鍋を利用したものだが釜の音色は叩くに値する。だが、熊には山奥にいて欲しい。目の前の斜面を降って行くのはアナグマだ。無事に越畑に下山、人の無い家の庭には満開の花々が咲き、人に代わってジャコウアゲハが群れて飛ぶ。花々の咲く時期を忘れるものは、ひょっとすると、人だけかも知れないな。
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2025.04.26
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 伊吹山地・横山岳・・・・2025年04月26日
皆様の記録を参考に、雪の少なくなる頃合を図っていると、新たに新雪が増えた週があったかと思うと、事故のニュースなどもあったりして、4月も末になってしまった。駐車地の桜は流石に葉桜、ところが周辺の草花はやや少ない。合わせた様にハイカーの姿も控え目で、雪が残るであろう谷コースは閉鎖である。 コエチ谷に向って歩く路傍に咲くクサイチゴ、イチリンソウは少ない。同じく白い花を咲かせる二つであるが、耳目はもっぱらイチリンソウに集まる。花の後に甘い果実を付けるクサイチゴにしてみれば、憤慨どころか提訴してもなを糾弾したい事態である。そこへいくと、有名無名の春の花を、公平に撮影しつつ後ろを歩く3人は偉い。偉いには違いないが、距離を空ける手段であるから、やはり一般の草花の不満は募るばかりだ。 後続があっては背後にじわりと圧がかかる。そうは云っても日射しは暑いし、エンジンだってアイドリングは必要だ。その上、目の前に立ちはだかる峠までの山腹はほぼ崖である。ただ真っ直ぐに延びるコースを見上げて湧く気力はむしろ乏しい。沸騰する体から汗が落ちる。俯いた目に映る斜面の花は小さく数も少ない。下の方で、笑いさざめく後続にも、この後訪れるであろう労苦である。 峠に登ると風が強い。汗は直ぐに引くものの、峠の先に聳える三高尾根の厳しい様子。後続の出現で、ギアを入れ替え登り始めたお二人の、小さな背中が哀れであった。この尾根が、人情を解さぬ事は先刻承知。がしかし、ひょっとした拍子に人情に目覚める事もあるのではないか、そんな期待をする人はアホと呼ばれる。後続の気配がして、哀れな姿がまた一つ尾根に増えた。むかしなら修験の者と呼ばれたろう。 取り付いた以上は上に出たい。亡者と化して厳しい斜度を這うように登る。堆積した落葉は憎い奴だ。斜度が緩むと白谷を隔てた東尾根が見えて来た。広大な空間を目の前にして、轟く音は谷の水音。振り向けば、金糞岳と余呉湖の間に湖北の街と霞む琵琶湖。見上げた横山岳は未だ相当の高みにある。真っ白なタムシバや辺りの岩石などを観察する間に、屈強な団体さんが通過して行く。続いて後続の3人が登って行った。これで随分自由になった。山ほどはこうありたいもの。 再び斜度の出始めた露岩地帯、チラホラ咲くのはカタクリである。谷への展望に優れた辺りはヤマシャクヤクの生息域、今年の蕾は多いように思う。ゆっくり歩くお陰で乳酸の蓄積は少ない。少々遅れて山頂に到着、一面の残雪で、後続であった3人は林の中、折角の日射しであるからお日様の恵みとともに、山頂の端を借りてお昼休息。 お昼の後は、多めの残雪の上を歩いて花などは見ない。奥美濃辺りの雪景色を見ながら東峰に降る。雪の消えた辺りのイワウチワは咲き始めたばかり、ブナの林の下を歩くと小さなオウレンが招いている。これで降れば「山笑う」頃の山歩きであった。が、今回は、山が呼ぶのか精霊が呼ぶのか、あるいはあのオウレンの目論見であったか、一旦降った尾根道を登り返すというシーンが付いた。昨年は最後に楽をさせて頂いた。今年は逆に最後に大汗になると云う日であった。こうなると、来年はどんな事になるんだろうか。
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2025.04.20
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 播磨・平石山界隈・・・・2025年04月20日
水を湛えた目の前のダム湖は長谷ダム、山のあなたの太田ダムと合わせ、高低差と地形を利用した揚水式発電所である。山腹に植林などの人工物はほぼ無く、凡そ半分ほどにも見える山ザクラと萌え出る若葉で見事な色彩だ。過剰な植林が少なく好ましい。ところが近頃は再び新たな負の遺産が増えつつある。懲りない民族の面目躍如といったところ。 集落に咲くサクラは満開を過ぎ、晴れた日射しの中に舞う花びらは一期一会。春の日射しの集落を抜け、お山に続く橋の袂に車を止めた。ここでも満開の桜と春のお花。快適な車を出るとやや暑い。歩き始めて身体が重い。暑さに慣れる迄は仕様が無い。苔生す林床にはミヤマカタバミが咲き、林が切れるとミツバツツジが咲く。軽い調子のミツバツツジは時に浮薄にも見える。今日はしかし有難い色彩だ。 今日はゆっくり歩きで行こうと思う。しかしこう勾配がキツくては汗になる。谷川を覗くとすぐ下で白いワサビの花が咲く。ここで少々、未だ生えない道草を食い、しめ縄の掛かる滝に到着した。滝上にしめ縄と仏様、下にはお社らしきもの。おそらくここは古い修行場だと思うが、今日は修行にあらずお散歩である。しかし、近くの足尾滝へは以前、足を運んだ。あいにく天狗はお出かけではあったが、滝上の千年桧に挨拶は済ませてある。 そんな訳で、滝裏に真っ直ぐ延びる急傾斜の道はパス、ゆるい林道をぼちぼち歩く。やがて林道の終点に至り、見上げる杉の林に見えるくの字の作業道。作業道にしては些か古いものだが、これを少々辿ってみよう。木陰を行くのでその点は楽、が、堆積した枯れ枝などは煩い。消えかかる作業道の先にそそり立つ古い石垣。廃墟になって恐らく1世紀、今も残る往時の人の情熱の跡だ。ここでも約束の様に山ザクラの花びらが舞う。 この上は更に増す斜度、今日はここで引き返した。滝場まで戻るとお迎えがあった。迎えてくれたのはカンスゲとアナグマ(。何れも間違えそうな動植物。勘助は甲斐の人物で軍師である。アナグマはイタチ科の動物でタヌキではない。まあ、お迎えがあるのは嬉しい事だ、ここでゆっくりお昼にしよう。
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