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2025.04.20
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 播磨・平石山界隈・・・・2025年04月20日

水を湛えた目の前のダム湖は長谷ダム、山のあなたの太田ダムと合わせ、高低差と地形を利用した揚水式発電所である。山腹に植林などの人工物はほぼ無く、凡そ半分ほどにも見える山ザクラと萌え出る若葉で見事な色彩だ。過剰な植林が少なく好ましい。ところが近頃は再び新たな負の遺産が増えつつある。懲りない民族の面目躍如といったところ。
集落に咲くサクラは満開を過ぎ、晴れた日射しの中に舞う花びらは一期一会。春の日射しの集落を抜け、お山に続く橋の袂に車を止めた。ここでも満開の桜と春のお花。快適な車を出るとやや暑い。歩き始めて身体が重い。暑さに慣れる迄は仕様が無い。苔生す林床にはミヤマカタバミが咲き、林が切れるとミツバツツジが咲く。軽い調子のミツバツツジは時に浮薄にも見える。今日はしかし有難い色彩だ。
今日はゆっくり歩きで行こうと思う。しかしこう勾配がキツくては汗になる。谷川を覗くとすぐ下で白いワサビの花が咲く。ここで少々、未だ生えない道草を食い、しめ縄の掛かる滝に到着した。滝上にしめ縄と仏様、下にはお社らしきもの。おそらくここは古い修行場だと思うが、今日は修行にあらずお散歩である。しかし、近くの足尾滝へは以前、足を運んだ。あいにく天狗はお出かけではあったが、滝上の千年桧に挨拶は済ませてある。
そんな訳で、滝裏に真っ直ぐ延びる急傾斜の道はパス、ゆるい林道をぼちぼち歩く。やがて林道の終点に至り、見上げる杉の林に見えるくの字の作業道。作業道にしては些か古いものだが、これを少々辿ってみよう。木陰を行くのでその点は楽、が、堆積した枯れ枝などは煩い。消えかかる作業道の先にそそり立つ古い石垣。廃墟になって恐らく1世紀、今も残る往時の人の情熱の跡だ。ここでも約束の様に山ザクラの花びらが舞う。
この上は更に増す斜度、今日はここで引き返した。滝場まで戻るとお迎えがあった。迎えてくれたのはカンスゲとアナグマ(。何れも間違えそうな動植物。勘助は甲斐の人物で軍師である。アナグマはイタチ科の動物でタヌキではない。まあ、お迎えがあるのは嬉しい事だ、ここでゆっくりお昼にしよう。