NEWS
お知らせ
2025.11.04
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 中国山地・扇ノ山・・・・2025年11月01日
                    扇ノ山はとても遠い。氷ノ山は関西の山だが、扇ノ山は中国地方の山だ。大山のように有名ではないから、関西弁を聞くことは稀、今日のような天候だとまず静かなお山で間違い無い。海上集落にお若い人の姿がある。人里離れたお山の中腹は、案外良いところかも知れず、明日は収穫祭のような催しがあるらしい。
収穫のほぼ終わった、秋らしい雰囲気の細い道がクネクネ、厳しい斜度の道が続く。対向車の無い事を祈りながら、ススキの原が見えてくると上山高原。ススキで視界は5m、慎重に車を進めて広い駐車場兼キャンプ地に着いた。強い風の中に車は1台、左馬殿道を行かれたようだが、午後からは寒気で荒れるらしい。
道中の看板によれば、鳥取へ抜ける辺りが通行止め、西から谷を這い上がるコースは行けなくなった。別の目的も叶わない。やむを得ず、県境手前の小ズッコ小屋から歩く事にしよう。幸い風はあっても青空もあり、紅葉がとても綺麗だ。小屋下に車を止めて、見た道傍のブナは見事に染まっている。
小屋を覗いて、杉などの混じる灌木の林を歩くとやがて河合谷コースに出合う。林床は黄色く染まるカエデの葉、林の下をカメラ抱えて翔ぶ様に歩く男性が一人。ありゃ〜妖怪であったかも知れない。ピークから一旦降り、登り返した先が扇ノ山の予定であった。賑やかな男女4名のパーティが降りて来られ、女性二人の歩みは恐る恐る、山支度は立派でハイカットの登山靴、すれ違った直後に転んだ様子、背の高いブナの林に木霊する悲鳴。
さてさて、ピークに至り平坦なアプローチを歩けば見えてくる避難小屋、がない。ここで始めて気が着いた。先のピークは小ズッコで、そしてここは大ズッコ、込めた思いの程は知れないが、そこに今頃気が着いた。何と云う無頓着だろう。遠くの方で雷鳴が聞こえ空は真っ黒、いよいよ寒気がやって来た。間もなく日差しが消え、次は雨かと思っているところへダブルストックの元気なお父様が追い付き追い越して行かれた。
樹木の切れた展望所で鳥取の街を見下し、日本海は空と海の区別も無い。先のお父様が降って来られ、降りは苦手か後ろ姿に勢いが無い。ピークは寒くて、改修中の避難小屋でエネルギー補給、暖かくは無いが寒くは無い。気温は一気に4℃ほど低い。降りに入ると雨が来た。雨と云うより霙である。折角の紅葉どころか夕方のように暗い。
河合谷登山口目指して降る道中、暗いながらも、葉を落とした蔓に垂れ下がる山ブドウは分かる。親水広場で靴を洗い、さて、閉鎖された道路状況はと県境まで歩くと、道の毀損はなく、木材の搬出都合による閉鎖である事が判明した。上山高原には2台の車とテント、降りで出逢った3台を入れると5台ほどの車が、強風と雨のススキの原で、朝を待ち焦がれた事だろう。ボンネットにしがみついた黄色スズメバチ、強制下車させるまで4〜5キロは移動したろう。無事に帰る事ができただろうか。