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2025.11.10
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 播磨・千ヶ峰・・・・2025年11月08日
京都の北山辺りに出掛けたい、と思うとどうしても昨今のニュースが気に掛かる。東北から北陸の熊の話題、街角に出るさえ驚きだが、人家の2階、果ては役所に現れ害を為すとは尋常では無い。幸い関西のドングリ類は豊作だし、少ない経験ではあるがお山で逃げるのは熊であった。例外は小熊のある場合で、声を聞くと一目散に逃げる事にしている。だが待てよ、熊だって移動はする。東で度胸を付けた熊が逃げてくれるだろうか?。思い悩んだ挙げ句、向かう先は千ヶ峰、熊用鈴とストックは携行した。
三谷渓谷駐車場はバイクが2台と車1台が先行する。気温は低いが登山用パッチとシャツのお陰で寒さは問題無い。昼間は相当暖かくなる様な予報が出ている。先行者がいるので熊への警戒も無用だ。そうすると、かなり厳しい斜度の続くルートで見るべきものは渓谷と紅葉。雌滝・雄滝の水量は多い。賑やかな渓谷と綺麗な水面に映える苔、勢いよく始めたあとの名残で見上げる斜面がことのほか厳しい。斜度の緩む岩棚を越えると伴走の渓谷とはお別れ、ただ厳しいだけの急斜面、人工林の林床を蠢くように登り高度を稼ぐ。岩座神(いざりがみ)コースと出合いやっと勾配が緩み展望を伺う余裕もできる。
林床に転がるドングリは熊への警戒を解くのに充分な量だ。先行する男性が降って行った。再び斜度が厳しくなると山頂は近い。ススキの背後に見える落葉樹の森が輝いて見える。山頂手前の陽射しの中は、少ないながら可愛いリンドウと草紅葉。少し歩いて無人のピークに到着。好天のピークは久しぶりだ。多少霞みの掛かる遠景は全周囲、吹く風はやや冷たい。
後続が一人二人、笠形山へと続く長大な尾根を、ススキを掻き分け少しだけ辿り、こんなに明るい秋の日に、暗い周回コースは勿体ない。早々にお弁当を拡げる皆様と別れ、久しぶりに岩座神コースを降り集落見物。入れ替わりに7〜8名のパーティが登って行った。このお山ではこれからがもっとも賑やかな時間帯だ。落葉樹の森を抜け、人工林の斜面を降り、平坦な古いお寺跡を降って林道に降りた。紅葉の中のムラサキシキブの実が青い。
集落を見下す、お寺の庭でエネルギー補給。時々スズメバチの翔ぶ庭の片隅に、沢山の実を着けた柿がある。秋の陽射しの中、何とも綺麗な色だ。沢山の実の一つを頂く事は、寧ろ柿への功徳ではないか。何れ木枯しと同時に重力に抗う事なく落ちる定め。仏の慈悲で一つだけ頂こう。綺麗に拭き、かじった途端に溢れる渋味、柿よ、仏の道を説く事を忘れていたな、、。
むかし話の山寺は、集落の真ん中から延びる石段の先にあるのが常である。ここはまさにむかし話、石段を降ると天日干しの稲田、むかしながらの秋の光景だ。たわわに実を着けた柿には説法が必要だが、残念な事に、集落に、住職は不在であった。