NEWS

お知らせ

2025.10.27

四季の山紀行(飛計路のブログ)

■ 京都北山・中山谷山・・・・2025年10月25日

五波谷の中間地点に車を止め、冬の他は滅多に着けなくなったスパッツを着用、これで幾らかヒル対策になる。冷水谷出合いまで戻る間に花は無い。花の代わりに建設中の別荘らしき建築物は見た。水が出ると浸かる恐れもあるだろう杉林の下で、川岸の山ビルに指を食われたところだ。頼まれてもお泊りには行きたく無い。

 

この上の辺りは熊の居住地である。山ビルごときにキャ〜キャ〜云うのも熊の脅威がないからだ。そうは思いつつも熊鈴と笛だけは吹いておこう。熊対策が済んだところで目の前の急斜面を登る。厳しい登りでふくらはぎは限界まで伸び違和感がある。暫く登ると汗より先に体が怠い。左足のふくらはぎは少し前に痛めていた。昨日は腹の調子が悪くて朝食はパン1個、早朝営業のお店が欲しい。ふくらはぎのこれ以上のダメージは後悔に繋がる恐れも無くは無い。左足を庇いながらのこの斜面は厳しい。

 

近頃は歩く方も無いのか倒木とアセビのジャングルの途だ。林床に見かけるのは鹿の寝床、豊作のはずのドングリも残るものは少ない。11月を前にして、律儀もののマンサクにさえ紅葉が無い。見かける動物は皆無である。嘗ては笹のジャングル、今では庭園風の木場に登り着き一服。午後からの崩れ予想の空には青空もある。風は温かく、露出した地表に残る跡は鹿のものばかりで熊は居ない。小熊が登っていたシラキの木は枯れている。地表に保水力が無くなった。

 

鹿に、散髪を強要された松は極短い葉を残すだけだ。これを鹿の盆栽「シカボン」と云う。少し太い林床の木は凡そシカボン、シカボンは至るところにある。北の空に目指す中山きんにくん、ではなくて谷山が覗いている。谷の源頭部を二つ越えた先にあり、疲れた体と心持ちには結構応える。こんな時は熊の出現も悪く無い。

 

何度か降っては登り、芦生の森が見えて来た。主尾根では強い風が吹く。むかし整備した尾根の藪途も今では歩き辛い。ノコギリは持参しているが、風の強い今日は辞めておこう。しかし尾根の樹木に実のあるものが無い。ドングリの他は全て凶作と言う事か。或いは林床の変化の結果だろうか、暢気な方々には興味の無い事象だ。

 

18年の風台風で倒れたブナの上でエネルギー補給。風の音に混じって人の声がする。谷を覗くと遥か谷底で写真を撮るヘルメット姿の三人の姿。キノコ取りか沢登りか知れないが谷底の人は始めて見た。ピークを踏み、北部の森を眺める間に一人はもうそこまで登って来ている。雲行きは愈々怪しくお先に五波峠へ、後方からは元気な声が届いていた。

 

無人の五波峠からはかなりの距離を残している。ほぼ車の無い道は面白い。鹿の食べ残した法面の草花や崩れた岩石は興味の対象である。嘗て、犬連れで尺八を吹き登って来られた南蛮人虚無僧がおられた。そうした事へ繋がる面白い道である。