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2025.06.23
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 中国山地・氷ノ山・・・・2025年06月21日

福定アルペンロードと云う、立派過ぎる名前の道の先に駐車場が見えた。駐車場から溢れそうな位置で山支度に勤しむ方がおられる。手前に止め、場内の様子を見たところ、何処にも空きが無い。路肩には金属のポールが立ち駐車厳禁、思い描いた計画が崩れて行く。この上は、素直に道を詰め、スキー場から東尾根経由の周回コースが可能だが、今日の目的の一つは覚束ない。虚しいスタートになってしまった。スキー場に向かう道中、車道を登り、東尾根から歩こうと云う方もおられる。降れば車の待つ駐車場、そこから登り返しが待つ者との差は歴然だ。
スキー場のレストハウス辺りに車は無い。緑のど真ん中に車を止め、眺めた北の空はガスの中、雨は無いそうだから寧ろ有難い。雲が取れたら30℃を超える下界と同じだ。そうは云いながらも気力がね〜、路傍の小石に語りかけても詮無い事だ。日射しの少ない風のある日であるが身体は重い。人工林の急勾配の斜面に続くくの字の途をトボトボと歩く。程よく汗が滲む頃には東尾根避難小屋、ここで少々お休みを入れ、山ぶどうのでき具合などを観察。合わせる様にカッコウが鳴いた。
早い方々はもう降って来られる時間、情け無い様子は見せられない。幸いこの先は神大小屋までの山腹コース、小さな沢などの流れる楽しいコースで身体への負担は少ない。勢い良く囀るコマドリの声は、勢力を伸ばしつつあるソウシチョウの存在を忘れるほどだ。登山道で遊ぶヤマドリの雛を見た辺りを過ぎると無人の神大小屋が見えて来た。ちょっと早いがテラスに入ってエネルギー補給、もったいなくも、汗が冷えると寒い。大段ヶ平コースに熟年登山者が多数到着、前の石に腰掛け賑やかにお話タイム。恐るべきは彼らのお話エネルギー、ほぼ無尽蔵だと思う。
小屋からは、お山にあることを忘れる程の人混みが続き、着いたピークに食事中の方々が数人のみ。ガスで遠望は無いから、ピークの特性の半分は失われている。流れるガスの合間に鳥取側の様子を拝んで直ぐ、氷ノ越に向って下山。時々登って来られる方々はほぼ軽装であった。長い尾根道を降り、峠の避難小屋を境に、福定からの登りの方は全く無し。ブナの林に続く古道を降り、草臥れた臨時のハシゴ場を過ぎるととても古い、仏像の安置された小屋がある。旅人に一夜を貸したものであろうが薄暗くてちょっと不気味。せめて灯の用意があれば避難小屋になるだろう。
ここからは急斜面の危険なルート。雪が無くてもチェーンスパイクがあると有難い途だ。こんなルートを拓く必要は何であったろう?、そんな疑問に応えるように、深い谷間にアカショウビンの声が響く。さて、降った福定のキャンプ場、ほんとならこれで終了、だが今日はスキー場までの舗装路が残る。スキー場から降って来られる方々は多い、登る方は他に無い、沸々。しかし、登る舗装路の路肩では、点々とアジサイが咲きササユリが咲き、むむ、これはやはり、ユリ姫様のご加護のもとの山行であった、と締め括る事にしようかな。