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2025.12.01
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京都西山・芦見谷東尾根・・・・2025年11月29日
芦見谷東尾根を西山とするには流石に疑問があるが、今更北山に変えると地蔵山・愛宕山界隈も含める必要がある。やはり従前の通り西山とさせて頂こう。 気温は6℃でほぼ曇天、予報ではお出かけ日和と言う事であったが左京区越畑は日本海側の気象。ここでは熊のニュースはさほど重要では無い。愈々師走になろうと云う今でも、付近の柿の木は豊穣の秋色、枯草に覆われた露地に人気は無い。防獣ゲートを過ぎ、芦見峠に至る山道の、タカノツメの紅葉をゆっくり鑑賞できる季節が来た。しっかり踏跡の残る峠を過ぎると踏跡は少ない。山ビルの巣窟を過ぎ足元チェック、彼らの季節の過ぎた事を確認した。 無事に芦見谷に降り、林道を少しばかり降って砂防ダムに降りる。陽射しの無い、冷たい水の流れる芦見川の向いに、山腹に続く古道があったのは20年前の事。厳しい斜面の山腹を見上げ、流れの石などを見ながら暫くぶらぶら、やがて深い谷底にも陽射しが届く。これを機に東取り付いた急勾配の山腹、古道は未だ残ってはいたが酷い倒木で辿れ無い。更に厳しい山腹を巻き上がることおよそ1時間、アキレス腱が痛い。斜度が緩む様子を見せると古道を離れて尾根芯を行く。 斜度は少なくなったが馬酔木の藪が酷い。歩く人の無い尾根は、どこもかしこも馬酔木かゆずり葉の過密地帯。大きく成長した木々で展望は無い。嘗てのピークハンターが残したピンクテープもほぼ無くなっている。戻りたくてもあのルートは下りに難い。スマホの電波の入る場所でも無い。いわば、ほぼ遭難といって良いような心細い状態だ。頼りになるのは尾根の形、南東に延びる尾根を辿ればユリ道の先に林道が待っているはず。 ところどころ、馬酔木の切れた林は明るい。紅葉した落葉で、陽射しは林床にある。お陰で今日の目的の大部分は消失した。藪と紅葉の林床を歩く事およそ2時間、ピークを過ぎ、細くなった尾根に残る約束のユリ道を辿る。地蔵山と竜ヶ岳の頭が覗き、北に周山街道の見える地点だ。消耗したエネルギーを補給しよう。それにしても風が冷たい。 補給時間は約10分。ユリ道と云うのはよく工夫された道で、登り下りはごく少ない。調子よく歩いて汗も出ない。飛び出た林道はしかし明るかった。現代にたち戻った「時の行者」だ。現代風に、オフロードバイクが作ったショートカットを降り谷に下降、やがて見えてきたのは「龍の小屋」、20年を経て健在だ。竜ヶ岳取付きを過ぎ、度々の出水で酷く荒れた芦見谷を降って芦見林道に出た。これで周回は終わり、越畑までは峠越えが残っている。
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2025.11.25
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 播磨・段ヶ峰・・・・2025年11月22日
夏には山ビルの出現に尻尾を巻いて逃げ出したルートだが、近頃の熊のニュースを聞く度に胸に蟠る思いがある。熊の出没には多様な訳があるだろう、が恐れ慌てて閉じ籠もるだけでは、恐れる熊を期待出来る訳が無い。山ビルに対する態度も同様だ。たとえ血の数滴を与えたとしても、毅然とした態度でお引取りを願うのが望ましい。今日もし出会う様な事があるならそうしよう。 先行される方々が車5台分、コナラの林もすっかり葉を落として見通しが良い。尾根に乗ったところで高度差300mを越える斜面。見通しが良いので、次第に遠ざかるゴルフ場などを見下し、気散じになるかと云うとそうでもない。秋らしい、葉を落とした枝の赤い実を啄むコガラはとても可愛い。しかし斜面を登る脚の負担が減る訳では無く、しかたがないので立ち止まって汗を拭く。風はとても冷たい。上の方から先行者の話し声が聞こえる。 斜度が緩むと達磨ヶ峰の肩、ここで歩みを止めると後が辛い。背を越えるススキの中にリンドウが咲く。開いた花は一つ、蕾は多い。漢字で書くと「竜胆」、葉が苦いところで着いた名とある。不思議な事に、この後で見たものは全て花一つだけ開いていた。人の知らない符丁があるのだ。登山道に寝そべるヒョウモンチョウはそうした秘密を知っている。踏まれる恐れがあるからススキの中に移動して貰った。 達磨ヶ峰から暫くは快適な尾根ルート。盛りを過ぎた紅葉も綺麗だが、ものの哀れを感じる儚さがある。何れは地に落ちて色を失い降り積もる。その落葉から覗く赤いドングリを手に取ると、それらは全て根を伸ばし始めた子孫達であった。やがて大きな栗の林に差し掛かり、朽木を肌色に彩るものは何だ?。あちこちの朽木に出たナメコ。既に登山者のザックに収まりお土産になったものもある。栗の木の枯れた訳は知らないが、随分星霜を経た木で間違い無い。 折角稼いだ高度を惜しげもなく下げて最低鞍部、ここからの登り返しも辛い。ちょっと剽軽そうで身の軽い女性が追い越していった。遅ればせながら辿り着いたフトウガ峰、背の低い灌木と千島笹の大地、関西らしく無い高層大地だ。先の女性は目の前の岩に登って自撮り写真。この後走って追い越して行った。 さて、残すところは谷を隔てた先の少ピーク。高度差は少ないながら距離はある。やや高度を下げた山腹は燃えている。千島笹の尾根を歩いて段ヶ峰着、風は幾らか冷たいながら、晴れて天気のこんな日にハイカーが四人、お二人は去った後で寂しいピークだ。これにはやはり熊騒動が寄与しているとみて間違い無い。まあ良かろう、汗が冷えるとピークは寒い、峠まで降ってお昼にしよう。 千町峠の、営業状態の不明であった喫茶店(?)は遂に閉鎖、開いている板張の庭の陽だまりでエネルギー補給、後続の男性もご一緒である。この後は林道を凡そ7km、2時間半歩いて周回を完了した。残念な事に、谷の紅葉は盛りだが午後の陽光はほぼ無し。ただ寒いだけの林道であった。山ビルとの遭遇も無し。
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2025.11.17
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 比良・正面谷~コヤマノタケ・・・・2025年11月15日
ワンゲル道登山口前の駐車場はほぼ満杯、正面谷の駐車地は見る前に諦めている。秋の比良は実に久しぶりだ。秋は帰りの渋滞が酷くて、真っ先に候補から外れる山であった。ところが真野からは2車線、加えて熊の脅威に怯む方々もあるだろう。来てみれば空いてるだろう予測は見事に外れ、恐るべきは武奈ヶ岳。 今日は皆様の後塵を拝して正面谷を行く。岳道を分け、谷を詰めると懐かしい砂防ダム。考えてみれば、正面谷は恐らく15年ぶりくらい、主に冬期のルートで雪に埋まる記憶が多い。砂防ダムに氷柱がある光景だ。水場の湧水は多少減ったか。砂防ダムを一つ越え二つ越え、何だか体が重くて怠いのは何でだ。長く見ぬ間にあちこち崩れた谷は明るく、興味深いものが多々転がっている。怠い体に有意義なアイドリングタイム。 それにしても、次々に現れては嬉々として消えて行く皆様を見るに付け、どんな衝動がお山に向かわせるのか不思議である。標高差は1000m、楽に登れる山でもなく、この先の青ガレなどはゴロゴロ岩の厳しいルートだ。天上界に続く道ならいざ知らず、顔には笑みさえ浮かべて登って行く。山岳信仰などは一部の極道の所業だと考えている、がこんなに多いと極道の所業と云えるかどうか。 やがて滝の下に到着、沢を渡るとその靑ガレを登る。青と云うより黒っぽい岩の崩壊地だ。陽射しもあって忽ち汗、風の無い上天気で霞が無い。短い水平道の後は崩壊の進む苦しいルートだ。直ぐ先にあるべき峠は遠い。ヘロヘロの態で峠着、腰掛けて微笑むおばちゃんハイカーに見詰められては照れくさい。こんにちは、挨拶をして直ぐによき峠谷目指して谷へ降る。 よき峠谷も、木々は育ち随分変わった。沢も幾らか深くなり、沢沿いのルートは沢の中に移動している。新しい、コヤマノタケへの尾根ルートからおねえさんが降りて来た。中峠・わさび峠を経て坊村に降る周回コースの途中らしい。軽量の靴では水漏れがあろう。そんな事には躊躇なく、見る間に谷に消えて行った。近頃の山靴は軽量なものが多い。 速い若者にどんどん抜かれ、やっと中峠に到着した。エネルギー補給は急務である。風の無い暖かい南斜面で琵琶湖を見ながら小休止。堂満岳は少々鋭角になったかな。杓子木場の頭へのルートは踏み跡が薄い。さて、人の多い武奈ヶ岳を除くとコヤマノタケが目的地。右に登れば特異なブナのコヤマノタケ。初めて見る秋の光景、葉を落としたブナの林のウメモドキは紅一点。枝越しに見る武奈ヶ岳は人で溢れている。 ピークから見下す八雲ヶ原が帰りのコース。ゲレンデ跡を降る途中で体が軽い。八雲ヶ原から北比良峠へ登り返し、岳道を降るのが帰路のルートだ。五体の協調さえあれば困難なルートでは無い。陽射しの中の今年の紅葉は金繍である。
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2025.11.10
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 播磨・千ヶ峰・・・・2025年11月08日
京都の北山辺りに出掛けたい、と思うとどうしても昨今のニュースが気に掛かる。東北から北陸の熊の話題、街角に出るさえ驚きだが、人家の2階、果ては役所に現れ害を為すとは尋常では無い。幸い関西のドングリ類は豊作だし、少ない経験ではあるがお山で逃げるのは熊であった。例外は小熊のある場合で、声を聞くと一目散に逃げる事にしている。だが待てよ、熊だって移動はする。東で度胸を付けた熊が逃げてくれるだろうか?。思い悩んだ挙げ句、向かう先は千ヶ峰、熊用鈴とストックは携行した。 三谷渓谷駐車場はバイクが2台と車1台が先行する。気温は低いが登山用パッチとシャツのお陰で寒さは問題無い。昼間は相当暖かくなる様な予報が出ている。先行者がいるので熊への警戒も無用だ。そうすると、かなり厳しい斜度の続くルートで見るべきものは渓谷と紅葉。雌滝・雄滝の水量は多い。賑やかな渓谷と綺麗な水面に映える苔、勢いよく始めたあとの名残で見上げる斜面がことのほか厳しい。斜度の緩む岩棚を越えると伴走の渓谷とはお別れ、ただ厳しいだけの急斜面、人工林の林床を蠢くように登り高度を稼ぐ。岩座神(いざりがみ)コースと出合いやっと勾配が緩み展望を伺う余裕もできる。 林床に転がるドングリは熊への警戒を解くのに充分な量だ。先行する男性が降って行った。再び斜度が厳しくなると山頂は近い。ススキの背後に見える落葉樹の森が輝いて見える。山頂手前の陽射しの中は、少ないながら可愛いリンドウと草紅葉。少し歩いて無人のピークに到着。好天のピークは久しぶりだ。多少霞みの掛かる遠景は全周囲、吹く風はやや冷たい。 後続が一人二人、笠形山へと続く長大な尾根を、ススキを掻き分け少しだけ辿り、こんなに明るい秋の日に、暗い周回コースは勿体ない。早々にお弁当を拡げる皆様と別れ、久しぶりに岩座神コースを降り集落見物。入れ替わりに7〜8名のパーティが登って行った。このお山ではこれからがもっとも賑やかな時間帯だ。落葉樹の森を抜け、人工林の斜面を降り、平坦な古いお寺跡を降って林道に降りた。紅葉の中のムラサキシキブの実が青い。 集落を見下す、お寺の庭でエネルギー補給。時々スズメバチの翔ぶ庭の片隅に、沢山の実を着けた柿がある。秋の陽射しの中、何とも綺麗な色だ。沢山の実の一つを頂く事は、寧ろ柿への功徳ではないか。何れ木枯しと同時に重力に抗う事なく落ちる定め。仏の慈悲で一つだけ頂こう。綺麗に拭き、かじった途端に溢れる渋味、柿よ、仏の道を説く事を忘れていたな、、。 むかし話の山寺は、集落の真ん中から延びる石段の先にあるのが常である。ここはまさにむかし話、石段を降ると天日干しの稲田、むかしながらの秋の光景だ。たわわに実を着けた柿には説法が必要だが、残念な事に、集落に、住職は不在であった。
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2025.11.10
展示会出展情報
【2025年12月3日(水)~12月5日(金)】「スマートファクトリーJapan2025」に出展いたします
東京ビッグサイトで開催される「スマートファクトリーJapan2025」に出展いたします。 販売・生産管理システム「Polaris」の実際の画面や動きも見ていただけますので、ぜひご来場ください。 図面文書管理システム開発の枚岡合金工具株式会社様と共同出展しております。 【開 催 日】2025年12月3日(水)~12月5日(金) 【会 場】東京ビッグサイト 【小間番号】南3~4ホール F-05 【時 間】10:00~17:00
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2025.11.04
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 中国山地・扇ノ山・・・・2025年11月01日
扇ノ山はとても遠い。氷ノ山は関西の山だが、扇ノ山は中国地方の山だ。大山のように有名ではないから、関西弁を聞くことは稀、今日のような天候だとまず静かなお山で間違い無い。海上集落にお若い人の姿がある。人里離れたお山の中腹は、案外良いところかも知れず、明日は収穫祭のような催しがあるらしい。 収穫のほぼ終わった、秋らしい雰囲気の細い道がクネクネ、厳しい斜度の道が続く。対向車の無い事を祈りながら、ススキの原が見えてくると上山高原。ススキで視界は5m、慎重に車を進めて広い駐車場兼キャンプ地に着いた。強い風の中に車は1台、左馬殿道を行かれたようだが、午後からは寒気で荒れるらしい。 道中の看板によれば、鳥取へ抜ける辺りが通行止め、西から谷を這い上がるコースは行けなくなった。別の目的も叶わない。やむを得ず、県境手前の小ズッコ小屋から歩く事にしよう。幸い風はあっても青空もあり、紅葉がとても綺麗だ。小屋下に車を止めて、見た道傍のブナは見事に染まっている。 小屋を覗いて、杉などの混じる灌木の林を歩くとやがて河合谷コースに出合う。林床は黄色く染まるカエデの葉、林の下をカメラ抱えて翔ぶ様に歩く男性が一人。ありゃ〜妖怪であったかも知れない。ピークから一旦降り、登り返した先が扇ノ山の予定であった。賑やかな男女4名のパーティが降りて来られ、女性二人の歩みは恐る恐る、山支度は立派でハイカットの登山靴、すれ違った直後に転んだ様子、背の高いブナの林に木霊する悲鳴。 さてさて、ピークに至り平坦なアプローチを歩けば見えてくる避難小屋、がない。ここで始めて気が着いた。先のピークは小ズッコで、そしてここは大ズッコ、込めた思いの程は知れないが、そこに今頃気が着いた。何と云う無頓着だろう。遠くの方で雷鳴が聞こえ空は真っ黒、いよいよ寒気がやって来た。間もなく日差しが消え、次は雨かと思っているところへダブルストックの元気なお父様が追い付き追い越して行かれた。 樹木の切れた展望所で鳥取の街を見下し、日本海は空と海の区別も無い。先のお父様が降って来られ、降りは苦手か後ろ姿に勢いが無い。ピークは寒くて、改修中の避難小屋でエネルギー補給、暖かくは無いが寒くは無い。気温は一気に4℃ほど低い。降りに入ると雨が来た。雨と云うより霙である。折角の紅葉どころか夕方のように暗い。 河合谷登山口目指して降る道中、暗いながらも、葉を落とした蔓に垂れ下がる山ブドウは分かる。親水広場で靴を洗い、さて、閉鎖された道路状況はと県境まで歩くと、道の毀損はなく、木材の搬出都合による閉鎖である事が判明した。上山高原には2台の車とテント、降りで出逢った3台を入れると5台ほどの車が、強風と雨のススキの原で、朝を待ち焦がれた事だろう。ボンネットにしがみついた黄色スズメバチ、強制下車させるまで4〜5キロは移動したろう。無事に帰る事ができただろうか。
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2025.10.27
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 京都北山・中山谷山・・・・2025年10月25日
五波谷の中間地点に車を止め、冬の他は滅多に着けなくなったスパッツを着用、これで幾らかヒル対策になる。冷水谷出合いまで戻る間に花は無い。花の代わりに建設中の別荘らしき建築物は見た。水が出ると浸かる恐れもあるだろう杉林の下で、川岸の山ビルに指を食われたところだ。頼まれてもお泊りには行きたく無い。 この上の辺りは熊の居住地である。山ビルごときにキャ〜キャ〜云うのも熊の脅威がないからだ。そうは思いつつも熊鈴と笛だけは吹いておこう。熊対策が済んだところで目の前の急斜面を登る。厳しい登りでふくらはぎは限界まで伸び違和感がある。暫く登ると汗より先に体が怠い。左足のふくらはぎは少し前に痛めていた。昨日は腹の調子が悪くて朝食はパン1個、早朝営業のお店が欲しい。ふくらはぎのこれ以上のダメージは後悔に繋がる恐れも無くは無い。左足を庇いながらのこの斜面は厳しい。 近頃は歩く方も無いのか倒木とアセビのジャングルの途だ。林床に見かけるのは鹿の寝床、豊作のはずのドングリも残るものは少ない。11月を前にして、律儀もののマンサクにさえ紅葉が無い。見かける動物は皆無である。嘗ては笹のジャングル、今では庭園風の木場に登り着き一服。午後からの崩れ予想の空には青空もある。風は温かく、露出した地表に残る跡は鹿のものばかりで熊は居ない。小熊が登っていたシラキの木は枯れている。地表に保水力が無くなった。 鹿に、散髪を強要された松は極短い葉を残すだけだ。これを鹿の盆栽「シカボン」と云う。少し太い林床の木は凡そシカボン、シカボンは至るところにある。北の空に目指す中山きんにくん、ではなくて谷山が覗いている。谷の源頭部を二つ越えた先にあり、疲れた体と心持ちには結構応える。こんな時は熊の出現も悪く無い。 何度か降っては登り、芦生の森が見えて来た。主尾根では強い風が吹く。むかし整備した尾根の藪途も今では歩き辛い。ノコギリは持参しているが、風の強い今日は辞めておこう。しかし尾根の樹木に実のあるものが無い。ドングリの他は全て凶作と言う事か。或いは林床の変化の結果だろうか、暢気な方々には興味の無い事象だ。 18年の風台風で倒れたブナの上でエネルギー補給。風の音に混じって人の声がする。谷を覗くと遥か谷底で写真を撮るヘルメット姿の三人の姿。キノコ取りか沢登りか知れないが谷底の人は始めて見た。ピークを踏み、北部の森を眺める間に一人はもうそこまで登って来ている。雲行きは愈々怪しくお先に五波峠へ、後方からは元気な声が届いていた。 無人の五波峠からはかなりの距離を残している。ほぼ車の無い道は面白い。鹿の食べ残した法面の草花や崩れた岩石は興味の対象である。嘗て、犬連れで尺八を吹き登って来られた南蛮人虚無僧がおられた。そうした事へ繋がる面白い道である。
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2025.10.20
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 多紀アルプス・筱見四十八滝・・・・2025年10月18日
国道走行中にはや雨が落ちる。暗い空から本格的な雨が落ちてくるのも時間の問題、だから他のアクティビティを、と切り換えができるほど器用では無い。出来れば雨は少々、山ビルのいないところ、と言う事で雨の前の四十ハ滝。駐車地に止まる車が1台。崩れ必至の空模様、加えて谷底のルートはとても暗い。先行者があろうとは思わなかった。 流れる水は多く濡れた岩は滑る。今朝などは秋の気温で水に親しむ季節は過去の事。勢いよく落ちる滝の水飛沫は風邪のもとだ。暗い谷底の濡れた岩場が怪しく光る。まさか熊の出没はあるまいから、滑る岩と蝮には注意しよう。先ずは一ノ滝を拝んで巻道を登る。岩の巻道を越えると汗になった。いつもは行かないニノ滝だが、降雨までの予定であるから省略は無い。露出した木の根の道は、濡れると愈々危険でそっと足を置かせて頂き通過。腫れ物に触れてはいけない。 ニノ滝からルートに戻り、少々岩場を通過、光感応細胞の減った目には暗すぎる三ノ滝。ここからも暫く岩棚などを通過、やがて唯一の明るい岩尾根に到達する。折角だから小休止。やや酸っぱいナツハゼの実を2粒ほど口に含み、眼前の岩尾根や集落を眺めつつ汗を拭く。けっこう暑い。足元のクヌギのドングリは帽子付き。岩尾根を降ると再び暗い流れの中、渡渉の後は大きな滝が目の前である。これを四ノ滝とした場合、次の滝は五ノ滝で終わり、これは不味い。 筱見四十ハ滝は確か、しじゅう流れる滝が八つあり、全て名のある滝でこれを黙殺しては乱暴である。が、洒落の様な名前であるし便宜上の事であるから、大きめの滝が五つ架かる渓谷、としても遜色なかろう。これで一件落着、大きめの四ノ滝を見て斜面を登り、岩場をへつって大きめの五ノ滝に着いた。これで滝はお終い、目の前の鎖場を越えると桃源郷の様な平坦地が待っている。 桃源郷に未だ紅葉は無い。手つかずの栗の実が転がる様子は何やら怖くなるほどだ。先行者はハヶ尾山まで行かれたようだが雲行きが良くない。今日はここまでで、雨の前にお山を降ろう。周回ルートのコナラの根本に、今頃には珍しい○○タケが出ている。天変地異の予兆でなければ新発見。
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2025.10.14
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 多紀アルプス・御嶽・・・・2025年10月12日
ノコンギクだかヨメナだが、とかく秋の薄紫のキク科の花はノコンギクだと決めていた。ところが葉を見たところ、鋸歯は少なく大人しい。こうした特徴から結論するとヨメナかもしれない。ヨメナは複数種の名称であるから間違いも少なくなる。故にヨメナとしよう。路傍にヨメナの花の咲き乱れる道の下には豆畑。近頃の篠山の秋は黒豆とともに始まる。黒豆の畑はあっても火打岩は静かな朝であった。 登山口の民家の角を曲がって先行者が行かれた。やや間をおいて角を曲がるとコスモスとヨメナの咲く休耕田にぬける。先行者は防獣柵を過ぎたところ、御岳のピークはガスの中。防獣柵を過ぎると薄暗い植林地、プラ階段が出てくる頃から息が切れる。そんなに厳しそうに見えないながらもここではいつも喘いでいる。辛抱が足りないのか能力が無いのか、いつ歩いても変わりが無い。 尾根道は、ピーク手前と一部を除けば斜度の少ない山腹コース、往時を偲ぶ細やかな遺跡の残る道である。ここで少々休みを入れ、汗などを拭き謂わば垢落とし、改めて歩く先には先行されたお二人がおられてナツハゼの実を収穫中。年の頃は70を越え、お話を伺うと御年80、嘗ての山男であった。ご同行の奥様のお年は一つ少なく79、近頃のご趣味はもっぱら生物学であるらしい。いきなりナツハゼとウラジロの実を勧められ、カマツカの実があればお勧めしたいところ。 お先に失礼して、綺麗な松葉の尾根で一服休息。追いついて来られてまたお話。心もち猫背が気になるほどでとても元気だ。先行されるお二人を追いかけボチボチ歩く御岳道。新たに賑やかな後続ができ、鳥居堂跡で道を譲ると長めの休息モード。お話に夢中で人の様子は目に入らん。先を歩いて大岳寺跡、境内跡で何やら物色中のお二人を発見、何がありますか?、と聞くと、栗、と仰有る。 この後、岩尾根までの登山道にこぼれる栗の多い事。山の生き物には有難い事だ。岩尾根をやっぱりヒーヒー登って岩のテラスで一服休息、定番である。やがて追い付いて来られたお二人が現れ、お孫さんと曾孫さんをご同行。1等席を譲ってお先にピーク。ピーク下から濃いガスと小雨が着いて来た。 主の消えた岩屋を拝んで、シラキの紅葉を見ながら大タワへ降る。大タワ手前の綺麗な尾根に転がる大量の栗、これを貯蔵に回せば飢えることもあるまいに。大タワに降りエネルギー補給、そこへ降って来られ、オニギリを頬張るお二人。やはり小金ヶ岳に行きますか?、とお尋ねすると、行く、と仰有る。林道沿いに興味があるので降りますよと挨拶をして道を分ける。林道沿いの藪では熟したアケビが2種類、やはり沢山の実をぶら下げて、陽射しの中で揺れている。
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2025.09.29
四季の山紀行(飛計路のブログ)
■ 但馬・蘇武岳・大杉山・・・・2025年09月27日
万場スキー場に車を置くと、蘇武岳へのルートは2つある。スキー場を詰め谷の両サイドを行くコースと、名色地区から林道を行くコース。起点の名をとり名色コースと漢字では書く。歩く積りはないものの、「ないろ」は響きが良くてお気に入りであった。ところが「なしき」と呼ぶのが正式らしい事を知ってしまった。知らない方が良い事もある。 車を止めると同時に男性が先行された。他にも数名がお山にあるらしい。ゲレンデ脇の栃の木に実が無い。この木の花は見た記憶があって実を着けるものだと思っていた。振り返ると関西で唯一、噴火口の残る神鍋山。芝生の中に転がる軽石は往時のものに違い無い。白花のゲンノショウコは濡れている。曇天の空に陽射しはなく、雨がなければ快適な気温だ。 踏み跡は確り残るもののやや荒れた様子の谷底の途。下山の若者に声をかけると未だ暗い5時から始めたと云う。温泉で過ごす時間に余裕がある。大杉山へのルートを分け、巨樹の谷を這い登る。想定外の厳しい斜面で忽ち汗。名前の通り、太めのサワグルミとカツラ、上部の栃の木は大きい。ここでも下山の男性と遭遇、お山はキノコが豊作だと仰有る。キノコの詰まったザックを背負い(恐らく)、意気揚々と降って行かれた。斜面に顔を出すキノコはスッポン茸だったかな。 谷を詰めた後はトラバース、ゆっくり谷を見下ろし汗を拭く。滝の巻道を終え、谷芯に戻った辺りは秋の実りと動物の気配が漂う。皮を残したクリの実・栃の実は彼らの食事あと、そばには手つかずの実が沢山残る。少し高い木の上には、かなり大きな実を着けた山ブドウが食べ頃に熟れる。風が抜けると音を立てて落ちてきて、足の置き場に困る程。綺麗な青い実のサワフタギは希少になった。 キノコは確かに種類は多い。カエンタケは、弱ったミズナラの根本で確認した。彼はこの様にして種々のキノコを見つけたのだ。収穫にはやや遅いナメコを大量に着けたミズナラは、尾根上の、名色コースの脇にあった。暫くそんな林床が続き、ブナの純林に代わる頃に蘇武岳のピークが覗く。ピークまで残り僅かな辺りで蘇武岳・大杉山の分岐点、今日もやはりピークはパス、残る一つ山〜四つ山、最後に大杉山で充分堪能できるコースである。 先ずは一つ山、ピークのブナは切払われて、陽射しも少々、明るくて気持が良い広場。木陰の倒木に腰掛けエネルギー補給、風が抜けると濡れた身体は寒い。陽射しの中は温かくて、猛暑が去って未だ1・2週間、今では遠い記憶の彼方だ。心細い事この上ない。さて、補給の後は残した行程をこなして大杉山。にこやかな単独女性は元気がある。見下ろす景色に秋色は無い。ナナカマドには気配だけ。 降りの大杉山コースもかなり厳しい。辺りはずっと、ブナの純林が続いている。ここでふと気が着いた。お山が豊作と云うならブナの実に埋まる林床がある筈なのだ。ブナの実は、粃を含めて見ていない。里山ばかりは豊作でも、高所の山は東と同じく不作だろうか。そうした懸念はあるものの、今日は久しぶりによく歩き、お山は長い夏の猛暑にも負けずまずは豊作の様子で、まあ満足であった、としても良かろう。
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